- 作者: ファインマン,宮島龍興
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1986/01/08
- メディア: 単行本
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第7章 色々の場合の電場(続き)
7-1 電場の求め方
・導体がある場合、導体上の電荷分布ははじめに分かっていないため複雑になる
↓
間接法で解く
・直接法の数学的問題はラプラス方程式
∇^2φ=0 (7.1)
の解で、φがある境界面−導体面−上で一定という条件に従うものを求めること。
・境界条件をみたす場の微分方程式の解を求める問題を境界値問題という。
・唯一の一般的解法は数値的解法だけ
・2次元の問題では∂/∂z=0であるから、自由空間内のφの方程式は、
∂^2φ/∂x^2+∂^2φ/∂y^2=0 (7.2)
7-2 2次元の場;複素変数の関数
・複素変数δを次式で定義する。
δ=x+iy
あるF(δ)に対してδ=x+iyを代入すると、実部と虚部をもつxとyの関数が
得られる。δ^2=(x+iy)^2=x^2−y^2+2ixy (7.3)
どんな関数F(δ)も実部と虚部の和として書かれ、どちらもxとyの関数である。
F(δ)=U(x、y)+iV(x、y) (7.4)
ここにU(x、y)もV(x、y)も実関数。
・関数UとVは自動的に
∂U/∂x=∂V/∂y (7.7)
∂V/∂x=−∂U/∂y (7.8)
の関係を満たす。これからUもVもラプラスの方程式
∂^2U/∂x^2+∂^2U/∂y^2=0、 (7.9)
∂^2V/∂x^2+∂^2V/∂y^2=0、 (7.10)
を満たす。
・任意の普通の関数から出発して2次元のラプラス方程式の解である二つの関数
U(x、y)、V(x、y)が得られる。どちらも可能な静電ポテンシャルを表す。・UとVのどちらも解を表すので、二つの問題の解である。
第8章 静電エネルギー
8-1 電荷の静電エネルギー;一様な球
・二つの電荷を寄せてくるための仕事
q1q2/4πε0r12 (8.1)
qiとqjを任意の2電荷、rijをその間の距離とすると、特定のエネルギーは
qiqj/4πε0rij (8.2)
全静電エネルギーUは可能な対すべてにわたるエネルギーの和
U=Σ[すべての対]qiqj/4πε0rij (8.3)
・無限小の厚さをもつ薄層を積み重ねて球をつくり上げる。
各プロセスで少量の電荷を集めrからr+drまでの薄層の中に入れる。
半径rになったとき球のもつ電荷をQrとすると、それに電荷dQをつけ加える仕事
はdU=QrdQ/4πε0r (8.4)
Qr=ρ・4πr^3/3
で電荷dQは
dQ=ρ・4πr^2dr
式(8.4)は次式となる。
dU=4πρ^2r^4dr/3ε0 (8.5)
球を組み立てるのに必要な全エネルギーはr=0からr=aまでdUを積分して
求まるU=4πρ^2a^5/15ε0 (8.6)
球の全電荷Qを使って結果を表すと
U=(3/5)・Q^2/4πε0a (8.7)
エネルギーは全電荷の2乗に比例し半径に反比例する。
(8.7)は球内の対について(1/rij)の平均が3/5aであることを示す
8-2 コンデンサーのエネルギー;帯電導体のうける力
・コンデンサーの導体の一方から電荷Qを取り去り、これを他方に与えると、
導体かんの電位差はV=Q/C (8.8)
コンデンサーを充電するのに必要な仕事は、電荷の増加dQを移すことにより
コンデンサーを充電すると考える。電荷dQを移動させる仕事はdU=VdQ
式(8.8)からVを代入し、
dU=QdQ/C
U=(1/2)Q^2/C (8.9)
このエネルギーは
U=(1/2)CV^2 (8.10)
導体球の容量(無限遠に対する)が
C球=4πε0a
であるので、帯電球のもつエネルギーは式(8.9)から
U=(1/2)Q^2/4πε0a (8.11)
これは全電荷Qをもつうすい球殻のエネルギーであり、一様に帯電した球の
エネルギー、式(8.7)の5/6になっている。