ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

ファインマン物理学Ⅴ 量子力学

ファインマン物理学〈5〉量子力学

ファインマン物理学〈5〉量子力学

第1章 量子的な性質 メモ

1-1 原子の力学

・”量子力学”は物質と光の性質を詳細に記述し、とくに原子的なスケールにおける減少を記述するもの。

・電子は粒子と波動のどちらにもにていないもの

・電子は光と全く似た性質をもつ。
・原子的な物体(電子、陽子、中性子、光子など)の量子的な性質は、それらのすべてに共通する性質であり、それらはみな粒子波(particle wave)といったもの。
・電子の性質は、光の粒子である光子を含むすべての種類の粒子に適用される。


1-2 弾丸をつかった実験

・2個の孔のある壁に向かい弾丸を打ち、弾丸は孔を通り抜けることが出来る。
・1個の弾丸が壁面上の孔を通り抜けて、止め板の中心から距離xの場所に到達する確率はいくらか。
・確率とは、弾丸が検出器の到達するチャンスのことで、ある時間の間に検出器に到達する弾丸の数を数え、その時間の間に止め板にぶつかった全体の弾丸数に対するその数の比率をとることにより測定できる。
・弾丸は絶対にこわれないもので、いつも同じ形のかたまりになって到達する。
・検出器で測定するのは、そのかたまりの1個が到達する確率。
 その確率をxの関数として測定する。


・孔2をふさいだとき、弾丸は孔1だけを通過し、確率分布数はP1となる。
・孔1をふさいだとき、確率分布はP2となる。
・両方の孔を開いたときの確率分布P12は、x=0で極大値をもち

   P12=P1+P2     (1.1)


 となる。

・全体の確率はそれぞれの確率の和であり、両方の孔をあけた効果は、それぞれの孔を一つだけあけたときの効果の和。
・この結果を「非干渉」の観測とする。
・弾丸はかたまりでやってきて、その到達の確率は干渉を示さない。


1-3 波をつかった実験

・水の波をつかった実験を考える。
・検出器は波の強度を測る装置で、その目盛りを実際の波の高さの2乗に比例するようにとると、その読みは波の強度に比例する。
 →この検出器は波の運ぶエネルギー量―あるいは、検出器に運び込まれるエネルギーの割合―に比例する読みを与える。


・強度は任意の大きさをとりうる。
・波の強度には、粒子の場合のような”かたまり”という性質はない。


・xの色々な値に対する波の強度測定を行うと、干渉を示す曲線を得る
・片方の孔をふさいた場合の波の強度のたし合わせにはならない。
・位相が合って波が強めあう場所では強度が大きく、弱めあう場所では強度が弱くなる。
・建設的な干渉をするのは、二つの波の位相が合っているときで、検出器から孔1までの距離が、検出器からもう一つの孔までの距離よりも、波長の整数倍だけ長い(あるいは短い)とき。
・破壊的な干渉をするのは、二つの波が位相差πをもつときで、孔1と検出器の間の距離が、孔2と検出器の間の距離と半波長の奇数倍だけの差をもつとき


・孔1だけから波がくる場合、検出器のところの水のある瞬間の高さはh1e^iωt(の実数部分)
 振幅h1は一般に複素数
・2個の孔の両方とも開いているとき、波の高さは両方の孔からくる波の高さを加えたものになり
   (h1+h2)e^iωt

 で与えられ、その強度は|h1+h2|^2。

 干渉する波に対する強度の関数式は、

   I1=|h1|^2、 I2=|h2|^2、 I12=|h1+h2|^2    (1.2)


 であり、弾丸の場合とは異なる。

 |h1+h2|^2を展開すると、

   |h1+h2|^2=|h1|^2+|h2|^2+2|h1|・|h2|cоsδ (1.3)


 となり、δはh1とh2の位相差。強度を用いて表すと、(1.3)は次式となる。

   I12=I1+I2+2√(I1+I2)cоsδ    (1.4)


 (1.4)の右辺の最後の項が”干渉項”。

・水の波の強度は任意の値をとることができ、それは干渉性を示す。


1-4 電子をつかった実験

・同様の実験を電子の場合に行う。

・検出器に電子が到達したときに聞こえる音の平均の割合が意味をもつ。
・検出器の位置により、音の聞こえる割合は速くなったり遅くなったりするが、音の大きさはいつでも同じ。
・止め板に到達するものは、どんなものでも”かたまり”としてやってくる。
 その”かたまり”が全て同じ大きさをもつ。
・完全な”かたまり”だけが到達し、それらは止め板には同時にただ1個だけ到達する。
 電子はいつでも同種のかたまりとして到達する。


・1個の電子の”かたまり”が止め板の中心からいろいろな距離xにある場所に到達する相対確率はいくらか。
・ある特定の点xにそのかたまりが到達する確率は、その場所xにおいて聞こえる音の数の平均の割合に比例する。


1-5 電子の干渉

<命題A>
・各電子は孔1か、あるいは孔2のどちらか一方を通過してくる。


・電子の場合、両方の孔を開いたときの結果P12は、それぞれの孔を1個だけあけたときの確率P1とP2の和になっていない。

   電子の場合には、P12≠P1+P2     (1.5)



・φ1の絶対値の2乗は、孔1だけが開かれているときの効果を与え、P1=|φ1|^2
・孔2だけが開かれているときの効果は、P2=|φ2|^2
・両方の孔が開いているときの全体の効果は、P12=|φ1+φ2|^2


・電子は粒子のようにかたまりになって到達する。
 これらのかたまりの到達する確率は、波の強度分布と同じように分布する。
 電子は”ときには粒子のような性質をもち、ときには波のような性質も示す”


⇒命題Aは間違い。


1-6 電子を監視する

・電子がどちらの孔を通過したかを監視すると、P12'=P1'+P2'となり、干渉曲線P12を得ることはない。

・電子を監視しているときと、していないときでは、スクリーン上の分布は違っている。


・光は電子に大きな影響を与えるため、電子を監視すると電子の運動は変わってしまう。
・光子が電子により散乱されると、電子のうける反作用は電子の運動状態を大きく変えてしまう。


・電子がどちらの孔を通ったかを識別でき、同時にその電子の示す干渉模様を乱さないように光を調節することは不可能。
ハイゼンベルク不確定性原理

・電子がどちらの孔を通りぬけたかを識別すると同時に、その干渉縞をこわしてしまうほどには電子を擾乱することのない装置を設計することは不可能。


1-7 量子力学の第1原理

<まとめ>
(1) 理想的実験において、ある事象のおきる確率は、確率振幅とよばれる複素数φの絶対値の2乗で与えられる。

   P=確率、


   φ=確率振幅     (1.6)


   P=|φ|^2


(2) 一つの事象がいくつかの異なる過程を経て生起できるとき、その事象に対する確率振幅は、それぞれの別の過程に対する確率振幅の和である。このとき干渉がおきる。

   φ=φ1+φ2
               (1.7)
   P=|φ1+φ2|^2


(3) ある実験を行ったとき、その実験によりある過程と別の過程のどちらを実際にとったかを決定できるときには、その事象のおきる確率は、それぞれの過程のおきる確率の和である。このとき干渉は失われる。

   P=P1+P2      (1.8)


古典力学量子力学のきわめて重要な相違点>
・ある与えれらた状況のもとで、何がおきるかを予測する方法を、われわれは知らない。
 予測できるのは、色々の事象のおきる確率だけ。


1-8 不確定性原理

ハイゼンベルクのもともとの不確定性原理の表現>

・任意の物体を測定するとき、その運動量のx成分を?pの不確定さで決定できるとしたとき、同時にその位置のx成分を?x=h/?pよりも正確にしることはできない。
 ここでhはプランク定数で、6.63×10^-34ジュール・秒。

・任意の瞬間における粒子の位置と運動量との不確定さの積はプランク定数よりも大きくなければならない。


不確定性原理は、量子力学を”防衛”するもの