ローレンスクラウス 「偉大なる宇宙の物語」メモ
ローレンス・クラウス 「偉大なる宇宙の物語」メモ
第8章 時間のひだ
・光はつねに直線的に進むものではない。
・光は低温の空気を進むときよりも高温で低密度の空気を進むときのほうが速い。
・「最小時間の定理」により、AからBに達するのに取りうる経路をすべて調べ、所要時間が最も短いものを見つければ、あらゆる光線の最終的な軌道が確定される。
・量子力学では、光線も電子も、あらゆる軌道を同時にとる。
・それぞれの軌道にはそれ独自の測定される確率があり、古典的に最小となる軌道は、その確率があらゆる軌道の中で最も高い。・リチャード・ファインマンは「経歴総和法」を洗練させ、電子の量子的ふるまいを記述するディラックの相対論的方程式を前進させ、光と電子の相互作用についての完全な無矛盾な量子力学理論を生み出した。
・「仮想」の粒子と反粒子のペア(直接観測できないくらいに素早く消滅してしまう粒子のペア)の数は潜在的に無限であり、それらがつねに自発的に現れたり消えたりしている。・仮想の粒子・反粒子のペアの効果を直接検出することはできないが、これらの存在を間接的に推論することは可能。
・仮想粒子は、観測可能な系の特性に、間接的な影響を及ぼすことができる。
・仮想粒子が電子と陽電子の電磁相互作用とともに組み込まれている理論は、量子電磁気学(QED)と呼ばれる。
・量子電磁気学では、電磁力の量子、光子が吸収されたり放出されたりすることで電磁相互作用が起こるとされる。・仮想粒子が持つエネルギーに逆比例する時間のあいだ消えてなくならないのが決まりだとすれば、粒子が任意に大きな量のエネルギーを持って空っぽの空間から飛び出してきて、任意に小さい時間のあいだ存在することも可能
→「無限大」が出てくる。<繰り込み>
何もしないと無限大がでてきてしまう予言から、その無限大を排除し、理にかなった有限な答えのみを残すようにする技法。<繰り込み可能な理論>
従来の理論が記述することを目的としていたスケールよりはるかに小さなスケールでどんなことが起こりえようと、そうした新しい物理には関知しない理論。
・対称性は物理世界を記述するにあたり基礎となる数学に変化があっても、その世界や外見には変化が生じないことを示す。
・物理法則の時間的な対称性をつきつめると、物理的な宇宙におけるエネルギーの保存が導かれる。
・対称性のおかげで電荷は保存されている。
・同じものと逆のものが同時に現れることなくして、自発的に現れることはない。
・仮想粒子が空っぽの空間で自発的に生み出されるときは、必ずその反粒子と組み合わせになっている。
<ゲージ不変性>
ゲージ変換(「正」や「負」と呼ばれる電荷を局所的に変えるような変換)のもとで自然の法則が不変のままでいるという必要条件は、マクスウェルの方程式に厳密に支配される電磁場の存在をまったく同等に必要とする。これが電磁場の性質を完全に決定する。・ゲージ対称性の発見と応用により、最小スケールでの現実の性質に関し、ほかのアイデアでもできなかったさまざまな発見ができるようになった。
・自然界の四つの力(電磁力、弱い力、強い力、重力)についての理解を進める試みが、ゲージ対称性の数学的基盤の上に築かれている。
・量子電磁気学では、ゲージ対称性の存在により、それがなかったら物理的預言を導く際に出てくるかもしれないどんな無限大も、いくつかのやっかいな項に隔離させることができる。対称性により、それらの項は消滅するか、あるいは物理的に測定されるあらゆる量から切り離せる。