ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

偉大なる宇宙の物語

ローレンス・クラウス 「偉大なる宇宙の物語」メモ

偉大なる宇宙の物語 ―なぜ私たちはここにいるのか?―

偉大なる宇宙の物語 ―なぜ私たちはここにいるのか?―

 

ローレンス・クラウス 「偉大なる宇宙の物語」メモ

 

第23章 ビアパーティからこの世の終わりまで

<インフレーションモデル>
・宇宙初期にGUTスケールで起きたかもしれない対称性を破る相転移が、弱い相互作用と電磁相互作用のあいだの対称性を破る相転移とは同じものではないかもしれない。
・GUTの場合、ヒッグス場のように空間で凝縮して強い力と電弱力のあいだのGUT対称性を破る場が、一瞬だけ高エネルギーの準安定状態に押しとどめられた後、他緩して、その場の最終的な状態になったかもしれない。
・この「偽の真空」状態にある間に場に蓄えられたエネルギーが、最終的に場が他緩して本来の望ましい最低エネルギー状態になったと同時に放出されたのではないか。


・このようなふるまいが大統一理論相転移のときに起こったら、初期の宇宙ではどうなるか。
・そうした転移のときにヒッグス粒子場のようにふるまうスカラー場が、新しい(対称性を破る)基底状態に凝縮したほうが望ましくなっている温度まで宇宙が冷えていても、一瞬だけもとの(対称性を保持する)基底状態のままでいたらどうなるか。
相転移の完了前にこの場により空間全体に蓄えられていたエネルギーが、重力の作用で反発する。
・結果として宇宙は、微視的に短い時間で、大幅に膨張する。
→インフレーション


・インフレーションはビッグバンの構図に関連して存在していた数々のパラドックスを解決できる。
(なぜ宇宙がこれだけ大きなスケールで均一なのか、なぜ三次元空間が大きなスケールでは幾何学的に平坦に近く見えるのかなど)


・インフレーションが終了すると、宇宙空間全体の偽の真空状態に蓄えられていたエネルギーが放出され、粒子が形成され、宇宙が再加熱されて高温になり、続いて起こる標準的なホットなビッグバン膨張の自然で現実的な初期条件が整えられる。


・初期の量子効果のせいで生じたわずかな不均一性がインフレーションのあいだに「凍結」する。
・インフレーションが終了すると、そのわずかな不均一性がしだいに大きくなり銀河を生み、星を生み、惑星等々を生み、その刻印を宇宙マイクロ波背景放射(CMB)に残すこととなった。


・インフレーションの膨張期間に、重力波という空間内の小さなさざ波が生み出される。
・インフレーション由来の重力波のしるしを直接測定できたら、宇宙の誕生から10^-36秒後以前の物理を直接のぞける窓を得たことになる。
→インフレーションのアイデアも、大統一理論も直接検証可能となる。


・インフレーションはまったく新しい、その場かぎりのスカラー場の存在に依存している。
・その場はインフレーションを起こすためだけに発明され、ビッグバン後の初期宇宙が最初に冷え始めるとともにインフレーションが始まるよう、微調整されてもいる。
ヒッグス粒子が存在するからには、背景のスカラー場も存在し、今日の宇宙のあらゆる空間に浸透しているはず。
・インフレーションは詳細しだいでは、もっと自然になり、一般的になる可能性がある。


・われわれの宇宙の支配的エネルギーは空っぽの空間に依存しているらしい

・観測された宇宙の加速膨張を説明するには、これが最もそれらしい説。
・この新種のエネルギーの出所はどこか?
1.空っぽの空間の基礎的な性質(宇宙定数)。
  将来いつまでも存在する宇宙の非ゼロの基底状態エネルギーのあらわれ
2.この宇宙の中にある、もうひとつの目に見えない背景スカラー場に蓄えられたエネルギー


・固有の力と粒子と驚異的な標準模型を備えた宇宙が、膨張する宇宙の中で星が生まれ、惑星が生まれ、意識を進化させられる生命が生まれるようになるという驚くべき幸運の結果だった一方で、たまたまヒッグス場が宇宙の初期の進化にともない、ちょうどこのように凝縮したために起こりえた単純な偶然の結果であったことを発見した。