ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

偉大なる宇宙の物語

ローレンス・クラウス 「偉大なる宇宙の物語」メモ

偉大なる宇宙の物語 ―なぜ私たちはここにいるのか?―

偉大なる宇宙の物語 ―なぜ私たちはここにいるのか?―

 

ローレンス・クラウス 「偉大なる宇宙の物語」メモ

 

第22章 答えより多くの疑問

・ヒッグス場は標準模型にその場しのぎで組み込まれたもので、理論上必要とされたものではない。
ヒッグス粒子の細かな物理は、標準模型それだけの枠内では決定されない。
ヒッグス粒子は実際より20倍重くても、100倍軽くてもよい。


ヒッグス粒子の背後にある物理を理解することは、われわれがどうして存在するようになったかを理解すること。
・「なぜ私たちはここにいるのか?」という問いは、根本的レベルでは「なぜヒッグス粒子はここにあるのか?」と問うのと同じこと。
標準模型はその問いに答えを与えない。


大統一理論(GUT)>
・既知のすべての粒子と重力以外の三つの力が、単一の基礎的な、もっと大きなゲージ対称性構造に収まる。
・この基礎的な対称性が、現在の実験の可能範囲をはるかに上回る超高エネルギーの短距離スケールで自発的に破れ、あとに残るのが二つの異なる破れていない対称性で、それが分離した強い力と電弱力となってあらわれる。
・電弱対称性はそのあと、もっとエネルギーが低く距離が長いスケールにおいて破れることになり、そこで短距離の弱い力と長距離の電磁力に分離する。


強い相互作用はそれを探る距離スケールが小さくなるとともに弱まるが、電磁相互作用と弱い相互作用は強まる。
・三つの異なる相互作用の強さが、ある小さな距離スケールでは等しくなるかもしれない。
大統一理論ゲージボソンは大質量を持ち、それが仲介する相互作用はきわめて短距離になる。
・陽子は崩壊する前に10^33年生きていなければならない。


・陽子の寿命の限界を知るため、確率論的方法を使う。
・陽子の寿命を10^33年と予言するなら、あるひとつの検出器に10^33個の陽子を投入すれば、平均して年に1個の陽子が崩壊する。
・3000トンの水が入るタンクを用意し、背景放射が入らないよう暗いところに設置し、検出器の光の点滅を検出できる高精度の光電管で周りを囲み、陽子が崩壊したときの光の点灯が見えるのを1年間待つ。
→陽子崩壊の信号は現れていない。


・三種類のニュートリノのうち、少なくとも一種類のニュートリノは質量ゼロではない。
・電子の質量よりも1億倍小さい。
・二種類目のニュートリノも質量をもつ。
・最初のニュートリノよりもいくぶん質量は大きい。


・自然界に存在する粒子が標準模型の粒子だけであれば、三つの力の強さはどのスケールでも統一されないことが実証された。
・これまでに観測されている範囲を越えるエネルギースケールに、新しい物理が存在しなくてはならない。
→「超対称性」
・二種類の粒子、フェルミオン(スピンが半整数の粒子)とボソン(スピンが整数の粒子)を結びつける。
・この対称性が存在しているなら、標準模型のすべての既知の粒子に対し、それに対応する新しい素粒子が少なくともひとつは存在しなくてはならない。
・超対称性の持つ特殊な性質により、任意に高い質量とエネルギーを持った仮想粒子がこの世界に及ぼす効果が、現在われわれに探れる範囲のスケールでは弱められる。
・超対称性は階層性問題を原理的には解決できる。
・超対称性を暗示するものはでてきてきない。


ダークマターは通常の物質と同じ粒子でできているとは考えにくい。
・ビッグバンのあとに残った最も軽い超対称性粒子の今日の存在量は、それが銀河の質量の圧倒的割合を占めるダークマターであった場合の範囲に収まる。
・高精度の検出器を設計して地下に設置すれば、ダークマター粒子も直接検出できるかもしれない。
→今のところまだ何もみつかっていない。


・今後もダークマターの発見がなされなければ、超対称性をダークマターの起源とする考えを除外することになるかもしれない。
・階層性問題の解決策としての超対称性の概念そのものを除外すること。


超弦理論
クォークの理論を弦のような励起と結びつける考え方。
・超対称性を弦の量子論に組み込むと、重力以外の三つの力だけでなく、自然界の既知の四つの力のすべてが矛盾のない単一の場の量子論に統一される可能性が出てくる。
・この理論の新しい時空次元は観測されていない。
・現時点では、実験では検証不可能。


ヒッグス粒子の発見は、理論的・実験的に素粒子物理学標準模型の最新にして最大の驚くべき達成。
・哲学者、数学者、科学者による2000年以上にわたる知的な努力の美しいクライマックスを飾るもの。