ﾘｻ・ﾗﾝﾄﾞｰﾙ／監訳 向山信治 訳 塩原通緒 「ワープする宇宙」ﾒﾓ
リサ・ランドール 監訳 向山信治 訳 塩原通緒
「ワープする宇宙」メモ
Ⅴ部 余剰次元宇宙の提案第１７章
ばらばらなパッセージーマルチバースと隔離
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【まとめ】
・標準モデルの粒子が一つのブレーンに閉じこめられ、超対称性を破る原因ととなる粒子が別のブレーンに隔離されている超対称性の破れのモデルは、望ましくない相互作用を排除できる。
・超対称性の破れの情報を標準モデルの粒子に伝えることで、スーパーパートナーに必要なだけの質量を与えられる媒介粒子はグラビトンかもしれない。
・隔離された超対称性の破れのモデルは、実験的に検証可能。
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●余剰次元へのパッセージ
・隔離の概念を超対称性の破れに適用する。
・超対称性の破れの原因となる粒子を標準モデルの粒子から隔離し、その両者間に望ましくない相互作用をおこさせないようにする。
●自然性と隔離
＜隔離が重要な理由＞
・四次元の場の量子論では起こりうることがすべて起こる
・理論が最終的に自然界に見られない相互作用や質量比を予言する。
・仮想粒子が絡むと、古典的理論で起こらない相互作用が起こる。
・仮想粒子の相互作用は、あらゆる相互作用を引き起こす。
＜階層性問題の根本原因＞
・仮想粒子からの影響で生じるヒッグス粒子の質量への量子補正。
・ヒッグス粒子のとる経路は一時的に重い粒子により遮られ、その介入がヒッグス粒子の質量を増やす。
・破れた超対称性理論では、仮想粒子が望ましくない相互作用を引き起こす。
・起こるはずがないと実験でわかっている相互作用。
・理論を矛盾なく機能させるには、この相互作用を排除しなければならない。
・対称性があるとすべての相互作用が起こるわけにはいなくなる。
・対称性に合致しない相互作用は決して起こらない。
・引き離されたブレーンも望ましくない相互作用を避けるもう一つの道。
・異なるブレーンにいる粒子どうしが強く相互作用することはない。
・相互作用はつねに局所的。
・隔離された粒子でも別のブレーンにいる粒子と相互作用できるが、それはあるブレーンから別のブレーンへと移動できる相互作用粒子がある場合だけ。
・バルク内の媒介粒子で、とくに質量のある粒子はめったに長い距離を移動しないので、そのような相互作用はきわめて弱い。
・引き離されたブレーンは粒子を対称性の破れから守ることもできる。
・対称性の破れがそれらの粒子から離れたところで起こっている場合、粒子にはほとんど影響がない。
●隔離と超対称性
・対称性が破れているモデルは自然界で起こらない相互作用を予測する。
・ブレーンワールドは超対称性を保存できるが、超対称性が自発的に破れる可能性がある。
・超対称性を破る原因となる粒子が標準モデルの粒子から引き離されていれば、対称性破れのモデルがもっとましになるのではないか。
・標準モデルの粒子が一つのブレーンに閉じこめられている。
・超対称性を破る原因ととなる粒子は別のブレーンに隔離されている。
→量子力学が引き起こす危険な相互作用はかならずしも起こらない。
・超対称性の破れの情報を標準モデルの粒子に伝えることで、スーパーパートナーに必要なだけの質量を与えられる媒介粒子は？
・その媒介粒子によりありえない相互作用は起こらない。
→グラビトン
＜グラビトン＞
・エネルギーを帯びた粒子とあらゆるところで相互作用できるバルク粒子。
・超対称性の破れのブレーンの粒子とも、標準モデルのブレーンの粒子とも相互作用する。
・グラビトンの相互作用は、必要なスーパーパートナーの質量を生み出しながら、クォークやレプトンのアイデンティティを乱すような相互作用を生み出さない。
・グラビトンを仲介役のメッセンジャー粒子と想定し、そこから導かれるスーパーパートナーの質量を算出。
・超対称性を破るエネルギースケールに対する古典的な寄与は最終的にゼロ。
・量子力学的効果だけが超対称性の破れを伝える。
・グラビトンによる超対称性の破れの伝達は「アノマリー仲介」。
・量子力学的効果も本来あるはずの対称性を破る。
・重力が超対称性の破れを伝えると仮定すると、隔離された超対称性の破れは機能する。
・すべてのスーパーパートナーが正しい質量をもち、ゲージーノの質量とスクォークの質量の関係も、期待する範囲におさまる。
・グラビトンは超対称性の破れを特殊な方法でゲージーノに伝える。
・その方法は通常の重力の相互作用と、超対称理論で起こる相互作用から計算可能。
・隔離された超対称性の破れのモデルは、ゲージボソンのパートナーであるゲージーノに関して独特の予言をし、その質量は測定可能。
