ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

不確実性を飼いならす:予測不能な世界を読み解く科学

イアン・スチュアート  著 徳田 功 訳  「不確実性を飼いならす」メモ  

 

イアン・スチュアート著 徳田 功訳
「不確実性を飼いならす 予測不能な世界を読み解く科学」メモ

 

12 医療を統計する
----------------------------------------------------------------------------------
【まとめ】
・新たな治療法や新薬の適用に際しては臨床試験を行う。
臨床試験のすべての過程において、リスクに対する統計的考え方が深く関わっている。
臨床試験では、統計的手法を用いて治療や薬の効果の信頼性を評価する。
----------------------------------------------------------------------------------

 

・医療専門家、製薬会社、医療機器メーカー、医師は、治療が効果的かどうかを試験し、患者のリスクを減らす方法を編み出してきた。
・主なツールは統計。
・医療で生じる不確実性には主に三つのタイプがある。
 1 薬
 2 医療機器
 3 治療プロトコル

・これら三つは実験室で開発され、入念に試験された上で、実際に人が使う運びになる。
・試験には動物を用いる場合もある。
・試験の後半では、臨床試験、人に対する実験を行う。
臨床試験実施が許可されても、その試験が安全とは限らない。
・試験のすべての過程においてリスクに対する統計的考え方が深く関わっている。


・異なる環境では異なるタイプの臨床試験を運用する。
・少人数の被験者を対象にしたパイロット試験から始める。
パイロット試験は、その後の臨床試験の実験計画を改善できる。
・特別ひどいことが起きなければ、試験は拡大され、多数の被験者を対象に進められる。
・この段階では、統計的手法により、治療の効果についてより信頼性の高い評価を下す。


・承認されれば、その治療法を医師が患者に施すことが可能になる。
・研究者は治療結果のデータを収集し続ける。
・その治療の信頼性が高まることもあれば、新たな問題が判明することもある。


臨床試験の計画
臨床試験を設定する際に軸となるもの。
 1 試験で得られたデータの統計解析
 2 試験の実験計画(有益で信頼性の高いデータをえるための試験をどう設計するか)

・データ解析に用いる手法:収集するデータの種類と収集方法に影響を及ぼす。
・実験計画:収集可能なデータの範囲と結果の信頼性を左右する。


臨床試験では主に二つの点を調査する。
 1 治療効果はあるか?
 2 安全か?

・安全性と有効性の間にはトレードオフがある。
 →リスク
・有害事象に関わるリスク:それが発生する確率とそれがもたらす危害の大きさを掛け合わせたもの。


・実験計画法の重要な特徴の一つ:対照群を使うこと。
・対照群:薬や治療を与えられていない人々
・もう一つの特徴:試験を実施する条件
・実験者の無意識のバイアス(偏見)の問題。
・無作為化:薬を受け取る患者とプラセボを受け取る患者をランダムにきめる
・盲検法:被験者は薬を受け取ったのかプラセボを受け取ったのか知ってはならない


★フィッシャーの方法
・統計データの分析方法
1 パラメトリック
・パラメータ(平均、分散など)を含む特定の確率分布(二項分布、正規分布など)を用いてデータをモデル化。
・データに最もフィットするパラメータを求め、確率の高い誤差範囲やフィッティングの有意性を推定する。;
2 ノンパラメトリック
・データのみを拠りどころとする。
・例:ヒストグラム

・フィッティングが良好な場合、パラメトリックな方法がよい。
・ノンパラメトリックな方法は柔軟性があり、根拠のない仮定を置く危険性もない。


<フィッシャーの方法>
・データの有意性を検定する。
パラメトリックな方法で、通常は正規分布に基づく。
・二つの対立仮説を比較する。
 帰無仮説:観測結果は純粋な偶然から生じたと主張
 対立仮説:そうではないと主張 
・対立仮説が正しいかどうかを知りたい。
帰無仮説を立て、与えられたデータが得られる確率を計算する。
・この確率は「p」と記載され、そこからp値という用語が生まれた。