ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

脳は世界をどう見ているのか 知能の謎を解く「1000の脳」理論

ジェフ・ホーキンス 著 大田直子 訳「脳は世界をどう見ているのか 知能の謎を解く「1000の脳」理論」メモ

 

 脳は世界をどう見ているのかを読み終えた。

 本書は3部構成で、最初の部では脳の新皮質の理論的枠組み、残りの2部は機械知能と人間の知能に関することが書かれていた。

 

 哺乳類は、生命維持活動を制御する古い脳の上位に、新皮質と呼ばれる新しい脳をもっていて、その新皮質は座標系を用いて世界のモデルを学習するとのことだ。

 新皮質に関するデータはたくさんあるものの、これまでは理論的枠組みがなかったようで、著者らの研究はそれを与えるもののようだ。

 深層学習のAIは本物の知能ではないとのことで(柔軟性に欠け、ひとつのことしかできない)、著者たちの研究は、人間のように考える機械知能の実現に向けた第一歩になるようだ。

 

 第二部、第三部は機械と人間の知能について書かれていて、第三部は知的生命体との交信だとか、人間が得た知識を広めるためにはどうすべきかなど、刺激的で面白いことが書かれていた。

 人間が知能を得ても、あいかわらず遺伝子の乗り物であり続けていて、古い脳の支配から完全に自由になることもできていない。生物として生まれて生きているんだから、別にそれでいんじゃね、とも思うけど、頭の良い人達の考えは違うようだ。

 知識を遺伝子や生命から切り離して世界に広めることが大事とのことだ。人間のように考える機械知能に、知識を広めるのを任せれば効率良いんだろうけど、何の意味があるのかよくわからん。

 宇宙のあちこちにいる(かどうかわからないけど)生命体が機械知能に知識を託して送りだしたとして、結局その知識に触れることができるのは機械知能だけになりそうな気がする(恒星間の移動には恐ろしく時間がかかるので、離れた場所にいる別の生命体に知識が届くかどうか怪しいと思われる...)。

 

 以前に読んだ、ユヴァル・ノア・ハラリ著「ホモ・デウス」によると、流行りのIoTの行き着く先は、データとそれを処理するアルゴリズムこそが全てで、最後には人間の存在すら不要となるようで、ポンコツにはついていけません...。

 

ジェフ・ホーキンス 著  大田直子 訳
「脳は世界をどう見ているのか」メモ

第3部 人間の知能

第16章 遺伝子vs知識
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【まとめ】
・私たちは遺伝子に奉仕するためにいるが、古い脳と新しい脳の力関係が変わり始めている。
・生きることの目的は、遺伝子を広めて保存すること、知識を広めて保存すること。
・知識を保存して広めることのほうが、遺伝子を保存して広めることより価値ある目的であるが、両方選ぶことが可能。
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・脳の30%を占める古い脳はさまざまな部位で構成されている。
・古い脳の領域が身体機能、基本行動、感情をコントロールする。
・そうした行動、感情の中には、私たちを攻撃的、暴力的、強欲にするものや、うそをついたり人をだましたりさせるものもある。
・脳の70%を占める新しい脳は新皮質でできている。
・新皮質は世界のモデルを学習し、このモデルこそ私たちが知的である所以。
・知能が進化したのは遺伝子を増殖させるのに役立つから。
・私たちは遺伝子に奉仕するためにいるが、古い脳と新しい脳の力関係が変わり始めている。


・どれだけ賢くなっても新皮質は古い脳とつながったまま。
・テクノロジーが強力になればなるほど、利己的で短絡的な古い脳の行動が、私たちを絶滅に導くか、社会の崩壊と暗黒時代に追い込む恐れがある。
・破壊的で争いを引き起こす古い脳の衝動を抑制しようとするが、必ずしも抑制できていない。


・生きることの目的は何なのか?
・過去:生きることの目的はつねに遺伝子を保存し複製すること。
・現在:生きることは知能と知識の保存?

・私たちの絶滅を防ぐために進められる三つの手法。
★「多惑星種」になる
・絶滅リスクを減らす方法のひとつ:複数の惑星で生きる種になること


・人類が火星に定住するためには、役に立つ知的機械が必要。
・火星用ロボット要員に新皮質に相当するものを与えること。


・人間が地球上で生み出す問題は、人間が住むほかの惑星でも生じる。


★私たちの未来を選ぶ
・私たちの未来がどう展開するかを気にするのは、宇宙の中で私たちだけのよう。
・望ましい未来は、私たちが望む未来だけ。


・私たちは難しい選択に直面している。
・古い脳か新しい脳、どちらに味方するかの選択。
・自然選択、生存競争、利己的な遺伝子の欲求により、自分たちの未来が決定されるのを望むのか?
・世界を理解したいという欲求と知能により、未来が決定されるのを望むのか?
・主要な原動力が知識の創造と普及である未来か、遺伝子の複製と伝搬である未来か選択するチャンスがある。
・選択をするには遺伝子操作により進化のプロセスを変える能力と、非生物学的形態の知能を作り出す能力が必要。


★私たちの遺伝子を組み換える
・遺伝子編集が人類全体の絶滅を防ぐなら、それは必要不可欠になる。
・遺伝子組み替えが最高の直接的利益になると判断できるシナリオはたくさんある。
・絶対的な善も悪もない。
・私たちが下す選択があるだけ。
・遺伝子編集は可能であり、選択の余地がある。


・私たちには未来をコントロールするために知能を使う選択肢がある。
・種としての生存と知識の存続は、私たちが知能を使えばもっと確実になる。


★進化の軌道を離脱する
・知能を古い脳と生物学の支配から解放する究極の方法
 →人間のように知的だが、人間に依存しない機械をつくること。
・太陽系の外まで移動し、私たちより長く生き残ることができる「知的エージェント」。
・そうした機械は私たちの知識を共有するが、遺伝子は共有しない。


・なぜ私たちは人間なしで星まで行ける知的機械をつくりたいのか。
<目標その1 知識を保存する>---
・ウィキ・アースは自己複製せず、自己修復せず、一時的なもの。
・知識を保存する最も確実な方法:継続的にコピーをつくること。
・知的機械をつくる目的のひとつ:人間がすでに行っていることを複製すること。
・コピーをつくり、ばらまくことで、知識を保存する。


・知的機械は人間がいなくなったずっとあとまで知識を保存し続けることができ、人間の行けない星まで知識を広められる。
・知的機械はゆっくりと銀河系全体に広がることができる。
・うまくいけば、宇宙のどこかにいる知的生命体に知識を伝えることができる。


・異星の知能を太陽系の知識保管庫に向かわせる代わりに、私たちの知識と歴史のコピーを銀河系のあちこちに送る。
・私たちの子孫となる知的機械は、自己修復し、自己複製ができなくてはならない。
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<目標その2 新しい知識を獲得する>---
・恒星間を旅行する自動継続的な知的機械をつくり出すことができたら、その機械は新しいものを発見する。
・何を学ぶかはわからないが、何かを学ぶ。
・知的機械がこの銀河系を横断すれば、宇宙についての知識をたえず増やす。
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★目標と方向のある未来
・人間はずっと恒星間旅行を夢見てきた。なぜか?
①遺伝子を広めて保存すること。
 ・私たちは探検するようにプログラムされている。
 ・好奇心は古い脳の機能のひとつ。
②知識を広めて保存すること。
 ・特定の遺伝子ではなく知能こそ、人類が重要である理由だという前提に基づく。
 ・私たちは別の星々まで旅行し、たくさん学び、未来のために知識を守るべき。


・知識を保存して広めることのほうが、遺伝子を保存して広めることより価値ある目的。
・遺伝子にもとづく生命には方向も目的もない。
・複製能力以外にある生物がほかの生物より優れていることを示す理由はなさそう。


・知識には方向も最終目標もある。
・知識には方向があり、重力の知識は、知識のない状態からニュートンの知識へ、アインシュタインの知識へと進めるが、反対方向には進めない。
・知識には最終目標がある。
 宇宙はどれだけ大きく、永遠につづくのか?時間とは何か?生命はどうやってうまれたのか?など


・私たちはどちらかの未来を選ぶ必要はない。
・両方選ぶことは可能。