ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

脳は世界をどう見ているのか 知能の謎を解く「1000の脳」理論

ジェフ・ホーキンス 著 大田直子 訳「脳は世界をどう見ているのか 知能の謎を解く「1000の脳」理論」メモ 

ジェフ・ホーキンス 著  大田直子 訳
「脳は世界をどう見ているのか」メモ

第1部 脳についての新しい理解

第3章 頭のなかの世界モデル
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【まとめ】
・新皮質は経験から世界のモデルを学び、そのモデルにもとづいて予測し、このモデルは私たちの予測、知覚、そして行動の基盤。
・思考、発想、知覚、経験はつねに、一連の同時に活性化するニューロンが生み出すもの。
・私たちが知っていることはすべて、ニューロン間の結合に蓄えられている。
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・新皮質は、何を見たり聞いたり感じたりしようとしているか、同時に複数の予測を立てている。
・予測は、低次の感覚特性のためにも高次の概念のためにも、あらゆる感覚様相で起こる。
→新皮質のあらゆる部位、あらゆる皮質コラムが予測をしている。


・予測するため、脳は何が標準かー過去の経験をもとにい何が予想されるはずかーを学習しなくてはならない。
・新皮質は世界のモデルを学び、そのモデルにもとづいて予測する。
・脳がもつ世界のモデルには、物体がどこにあるか、そして自分がその物体とかかわり合うと、物体がどう変わるかも組み込まれる。
・たとえば、ホチキスの底面に対して上部がどう動くかといったことは、生まれつき知識としてもっていない。
・人生のどこかで学習し、新皮質に蓄えている。

 

・脳は予測モデルをつくる=脳は入力が何かを絶えず予測する。
・予測はけっして止まることのない固有の属性であり、学習にきわめて重要な役割を果たす。
・脳の予測が正しいと証明されたとき、それは脳がもつ世界のモデルが正確だということ。
・予測が間違っていたら、人はその誤りに注意を向け、モデルを更新する。


・こうした予測は、脳への入力と合っているかぎり、意識されない。
・入力のどれかが少しでも変化すると気づくからこそ、そうした予測が行われているのだと確信できる。
・予測が正しいとき、予測が行われたことに気づかない。


・人が生まれたばかりのとき、その新皮質はほとんど何も知らない。
・新皮質の全体的構造は無作為ではない。
・大きさ、領域の数、領域がどうつながるかは、遺伝子で決まる。
・新皮質は生まれつき見たり、聞いたり、言語を学習したりする構造になっている。
・新皮質は自分が何を見、何を聞き、具体的に何の言語を学習する可能性があるかを知らない。
・新皮質は生まれながらに世界についてなんらかの想定をしているが、具体的には何も知らない。
・経験をとおして、世界の豊かで複雑なモデルを学習する。


・新皮質が学ぶものの数は膨大。
・周囲にあるものについて、連想される経験、自分がどうかかわっているかを思い出すことができる。
・知っていることの数は膨大で、知識と結びつくものは果てしなく思える。


・高次の概念もたくさん学習する。
・人はおよそ4万の単語を知っている。
話し言葉、書き言葉、手話、数学用語、音楽用語を学ぶ能力がある。
・電子媒体がどう働くか、共感や民主主義が何を意味するかも学習する。
・新皮質がほかに何をするかにかかわりなく、信じられないくらい複雑な世界のモデルを学習するということは確実に言える。
・このモデルは私たちの予測、知覚、そして行動の基盤


★動くことで学習する
・脳への入力はつねに変化している。
・理由
 ①世界は変化する。
 ②人が動くこと。
・脳は入力が時間とともにどう変わるかを観察することにより世界のモデルを学習する。
・脳が何かを学習する唯一の方法は、入力の変化。


・ほとんどの学習は、能動的に動いて探検することを必要とする。
・ある家のモデルを学習するには、動かなければならない。


・感覚運動学習:私たちが動くと感覚入力がどう変わるかを観察することにより、脳は世界のモデルを学習する。
・それぞれの動きについて、新皮質は次に何を感じるかを予測する。


・新皮質がどう働くのかという疑問の正確な表現:
「膨大な数のほぼそっくりの皮質コラムからなる新皮質は、どうやって動きから世界の予測モデルを学習するのか?」
・この疑問に答えられれば、新皮質をリバースエンジニアリングできる。
・新皮質が何を、どうやって行うかを理解可能。
・最終的に、同じように働く機械を製作可能。


神経科学の二つの教義
・脳は細胞でできている。
ニューロンと呼ばれる脳の細胞は、ほかの細胞と似ている。
ニューロンにも細胞膜とDNAが入った核がある。
ニューロンには、体内のほかの細胞にはない、固有の特性がいくつかある。

ニューロン固有の特性>
ニューロンは樹木に似ている。
・細胞膜が枝のように伸びている部分があり、軸索と樹状突起と呼ばれる。
樹状突起の枝:細胞体のそばに群生し、入力を収集
・軸索:出力装置
・たくさんの近隣のニューロンとつながるが、遠くまで延びるものも多い。


ニューロンはスパイクと呼ばれる活動電位を発生する。
・活動電位:細胞体近くで始まり、軸索を伝わり、最後に枝の端に到達する電気信号。


ニューロンの軸索はほかのニューロン樹状突起とつながる。
・その結合展はシナプス結合と呼ばれる。
・軸索を伝わる活動電位がシナプスに到達すると、化学物質を放出し、それが受信側ニューロン樹状突起に入る。
・どんな化学物質が放出されるかにより、受信側ニューロンが独自の活動電位を発生する可能性の大小が決まる。


ニューロンがどう働くかを考えると、二つの基本教義を明言できる。
・この教義は脳と知能に対する理解に重要な役割を果たす。


<教義1 思考、発想、知覚はニューロンの活動である>---
・ある時点で、新皮質には積極的に活動電位を発生しているニューロンもあれば、そうしていないものもある。
・同時に活動するニューロンの数は少なく、2%。
・思考と知覚は、どのニューロンが活動電位を発生しているかで決まる。
・思考と経験はつねに、一連の同時に活性化するニューロンが生み出すもの。
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<教義2 私たちが知っていることはすべて、ニューロン間の結合に蓄えられている>---
・脳はたくさんのことを記憶する。
・恒久記憶:どこで育ったか
・一時記憶:昨日の夕食に何を食べたか
・基礎知識:ドアの開け方、単語の綴り
・こうしたものはすべて、シナプス、つまりニューロン間の結合を使って蓄えられる。
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<脳がどうやって学習するかの基本的考え>---
・各ニューロンには何千というシナプスがあり、そのニューロンをほかの何千というニューロンとつなげる。
・二つのニューロンが同時に活動電位を発生すると、両者間の結合が強まる。
・何かを学ぶとき:結合が強まる
・何かを忘れるとき:結合が弱まる
・この考えは1940年代にドナルド・ヘッブにより提案され、ヘッブの学習則と呼ばれる。


・新皮質を含めて脳の多くの部位では、新しいシナプスが形成されて古いものが消える。
・毎日、個々のニューロンで多くのシナプスが消え、新しいシナプスが取って代わる。
→学習のほとんどは、以前はつながっていなかったニューロン間に新しい結合を形成することで起こる。
・古い結合、使われていない結合が完全に取り除かれると、忘却が生じる。