- 作者: ファインマン,坪井忠二
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1986/01/08
- メディア: 単行本
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ファインマン物理学Ⅰ 力学
第12章 力の性質 メモ12-1 力とは何か?
・ニュートンの法則の真意:力はF=maという法則以外に、特有の性質をもつ・力の特性のなかで重要なのは、それが現実の源をもつことであり、単なる定義
ではないこと
・簡単な概念はどれも近似
・物理の対象は近似や理想化を繰り返して取り扱う
・あらゆることを数学だけで演繹し、また自然を記述する力学を数学的抽象論と
することはできない・自然の複雑な”どろくさい”対象に巻き込まれるが、その近似はだんだん精確に
なってゆく
12-2 摩擦
・飛行機にはたらく抵抗は近似的にF〜cv^2・風洞実験により近似的に得られた実験式
・実際の飛行機に生ずる抵抗は複雑であり、個々の抵抗についてを詳細に調べて
も法則を導くことは不可能
・摩擦の種類
空気の中における遅い運動によって生ずる摩擦
蜜の中における遅い運動によって生ずる摩擦
乾いた摩擦
滑りの摩擦
・摩擦により動力が消失するメカニズムは、滑体が凸出にあたると、凸出が変形し
波と原子運動を生じ、やがて両方の物体に熱が生じる
・摩擦にうちかって一つの物体を他の物体とすべらすに要する力は、接触している
2面の間の(面に垂直な)法線方向の力によってきまる・摩擦の力はこの法線方向の力にかなりよく比例し、その係数はほぼ一定
F=μN
μ:摩擦係数
・この公式は実験法則としてはよいが、応用限界がある
・摩擦に関して、正確な定量的実験を行うことは非常に難しい
・摩擦の法則は、まだ充分にわかっていない半実験的法則の一つ
12-3 分子力
・分子力の特製:原子の間の力であり、摩擦の生じる原因の大もと・分子引力は、一つの分子の中にあるすべての電子や原子核と、相手の分子の中
にあるすべての電子や原子核との間にはたらいている非常に複雑な相互作用の結果
・分子引力は、距離の大きい所では引力、近くでは斥力
・変位があまり大きくなければ力は変位に比例する
12-4 基本的の力 場
<電気力>
・物体は電子と陽子からなり、電荷をもつ・二つの物体が帯電すると、その間には力がはたらく
・電荷の大きさがそれぞれq1、q2とすると静電荷に対する力の法則は
F=q1q2r~/4πε0r^3
ε0=8.854×10^-12 クーロン^2/ニュートン・m^2
1/4πε0=8.99×10^9 ニュートン・m^2/クーロン^2
<場>
・二つの物体が複雑な運動をしはじめるとき生ずる非常に錯雑した力を取扱う方法
・二つの電荷q1とq2がそれぞれ点Pと点Rにあるとする
・Pにある電荷q1はRに一つの状態をつくる
・Rにおけるq2にはたらくF~は二つの部分から成り立ち、q2とE~をかけたもの
F~=q2E~
E~:電場(ベクトル)
・Pにある電荷q1によりRに生ずる電場E~は
E~=q1r~/4πε0r^3
・あるものが場を生じ、あるものがこの場によってはたらかれるとすると、この
二つの部分を別々にみることによって問題を計算するのが簡単になる
<重ね合わせの原理>
・源がたくさんある場合、それによって生ずる全電場は、第1の源によって生ずる
電場、第2の源によって生ずる電場等々をベクトル的に加えたもの⇒重ね合わせの原理
E~=E1~+E2~+E3~+・・・
E~=Σ[i]qiri~/4πε0ri^3