- 作者: ファインマン,宮島龍興
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1986/01/08
- メディア: 単行本
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第1章 電磁気学 メモ
1-1 電気の力
<電気力>
・重力と同じく大体距離の2乗に逆比例する
・強さは重力の10億の10億の10億の10億倍
・正、負の2種の物質があり、同種の物質は反発し、異種は引き合う力が働く
・すべての物質は正の陽子と負の電子の混合体で、強い力で引き合い反発し合う
・正負をうまく混合すると、かたい、こまかい混合物となり、引力も斥力もなく
なる・原子を結びつける力、分子を結びつける科学的な力も電気力によるもの。
・原子核の中で電気力により陽子と電子が一緒になってしまわないのは、量子効果
のため・不確定性原理より、陽子に接近したせまい領域に電子を閉じ込めようとすれば
するほど、大きな平均の運動量をもたなくてはならない
・原子核を結び合わせているのは核力という非電気力
・核力は電気力よりも強く、電気力に反対して陽子を結合させている。
・核力は短い守備範囲(到達距離)をもち、力は1/r^2より速く小さくなる
・物質のこまかな構造、性質を決定するのは電気力と量子力学的効果の結合
・ある一つの電荷のうける力はその位置、速度、電気量だけできまる
速度v~をもつ電荷qの受ける力F~は
F~=q(E~+v~×B~) (1.1)
E~:電荷の場所の電場(電界)
B~:をその磁場(磁界)という
運動方程式と組み合わせると次式となる。
d/dt[mv~/(1−v^2/c^2)^(1/2)]
=F~=q(E~+v~×B~) (1.2)
・一群の電荷がつくる電界をE~1、別の群のつくる場をE~2とすると、同時に両方
の群の電荷が存在するときできる場はE~=E~1+E~2 (1.3)
になり、これを場の重ね合わせの原理という
1-2 電場と磁場
・空間のすべての点に二つのベクトルE~、B~を合わせて考え、E~やB~は
時間と共に変化してもよい・電場、磁場はx、y、zとtとのベクトル関数
・E~やB~が”場”と呼ばれるのは、空間の各点でその値が決められているから
・空間の別の点で別の値をとる物理量はどれも”場”である。
1-3 ベクトル場の特性
・閉曲面に対して、外向きの流れの総量−「流速」−は速度の法線成分の平均値に
表面積をかけたものに等しい流速=(法線成分の平均値)・(表面積) (1.4)
・電場の場合は式(1.4)で定義された量を「電束」という
・ベクトル場に循環を定義し、任意のベクトル場に対してベクトルの接線成分の
平均値に曲線の長さをかけた量を「仮想的な閉曲線のまわりの循環」と定める循環=(接線成分の平均値)・(周の長さ) (1.5)
1-4 電磁気の法則
・電磁気学の第一法則は電束に関係する
任意の閉曲面をつらぬくE~の流速=内部にある総電荷/ε0 (1.6)
・空間に一つの閉曲線があるとし、それを一周する電場の循環をもとめると、
一般に0ではない・電磁気学の第二法則
任意の曲面(閉曲面ではない)をSとし、その縁をCとすると
CのまわりのE~の循環=d/dt(Sを通るB~の流速) (1.7)
電磁場の法則は対応する2法則をB~について書き下せば完成する。
任意の閉曲面に対するB~の流速=0 (1.8)
c^2(CのまわりのB~の循環)=d/dt(Sを通るE~の流速)
+Sを通る電流の流速/ε0 (1.9)
ここにSはCを縁とする面。
・式(1.9)のc^2は光速の2乗で、磁気は電気の相対論的効果であるため光速が
出てくる
・電線に流れる電流は磁場をつくり、それが磁石に力を与える。
・式(1.9)の最後の項より、電流はB~の循環をつくり出す
・式(1.8)は、式(1.6)の右辺の電荷に類似する”磁荷”が存在しないことを
表している
・式(1.9)の右辺の第一項はマクスウェルが理論的に発見した重要な項で、
電場の変化が磁場をつくることを表す。