ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

ファインマン物理学Ⅳ 電磁波と物性

ファインマン物理学〈4〉電磁波と物性

ファインマン物理学〈4〉電磁波と物性

第20章 粘性のある流れ メモ

20-1 粘性

・実際の流れでは、粘性と呼ばれる内部摩擦が無視できる場合はほとんどない。

・静的な状況ではずりの応力は存在しない。
 平行に達するまでは力を加え続ける限り応力は存在しうる。
・粘性は、動いている流体中に存在するずりの応力を表すもの。


・平な2枚の個体の面の間に水があるとする。
 一つは固定し、他方の面をこれに平行に速さv0で動かす。
 上の板を動かし続けるのに要する力は、板の面積とv0/dに比例する
 (dは板の間の距離)

 ずりの応力F/Aはv0/dに比例し、

   F/A=ηv0/d


 であり、比例定数ηを粘性率という。


・流れに平行な面をもつ小さな、平たい長方形の部分を水の中に考えると、この部分を通して働くずりの力は

   ⊿F/⊿A=η⊿vx/⊿y=η∂vx/∂y      (20.2)


 一般の場合

   Sxy=η(∂vy/∂x+∂vx/∂y)       (20.3)



 と書く。


・二つの同心円筒の間の流体の運動を考える。
 内側の円筒は半径a、周辺速度vaをもち、外側の円筒は半径b、速度vbをもつとする。
 軸からrの距離の液体に対する粘性によるずりの応力を表す式をつくる。
 流れは常に接線方向であり、その大きさはrだけに関係すると仮定し、v=v(r)とする。
 距離rの水に浮かべた小粒に着目すると、その座標は

   x=rcоsωt、 y=rsinωt


 ここでω=v/rであり、速度のx、y成分は


   vx=−rωsinωt=−ωy、vy=rωcоsωt=ωx  (20.4)


 である。(20.3)より、

   Sxy=η[∂/∂x(xω)−∂/∂y(yω)]


     =η[x∂ω/∂x−y∂ω/∂y]    (20.5)


 点y=0において∂ω/∂y=0でありx∂ω/∂xはrdω/drに等しいので

   (Sxy)y=0=ηrdω/dr     (20.6)


・半径rの円筒の面を通して働くトルクは、ずりの応力にモーメントの腕rと面積2πrlをかけて求める。

   τ=2πr^2l(Sxy)y=0=2πηlr^3dω/dr   (20.7)


 ただし、lは円筒の長さ。


・rとr+drとの間の円筒形の殻の水に働く全トルクは0。
 rにおけるトルクはr+drにおける等しくて符号が逆なトルクと釣り合わなければならない。
 よってτはrに無関係で、r^3dω/drはある定数Aに等しい。

   dω/dr=A/r^3     (20.8)


 積分して

   ω=−A/2r^2+B     (20.9)


 定数AとBは、r=aでω=ωa、r=bでω=ωbの条件で定める。

   A=2a^2b^2(ωb−ωa)/(b^2−a^2)
                          (20.10)
   B=(b^2ωb−a^2ωa)/(b^2−a^2)


 トルクを求めるには(20.7)と(20.8)から

   τ=2πηlA


 あるいは

   τ=4πηla^2b^2(ωb−ωa)/(b^2−a^2)   (20.11)