- 作者: ファインマン,レイトン,サンズ,戸田盛和
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2002/09/27
- メディア: 単行本
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第20章 粘性のある流れ メモ
20-1 粘性
・実際の流れでは、粘性と呼ばれる内部摩擦が無視できる場合はほとんどない。
・静的な状況ではずりの応力は存在しない。
平行に達するまでは力を加え続ける限り応力は存在しうる。
・粘性は、動いている流体中に存在するずりの応力を表すもの。
・平な2枚の個体の面の間に水があるとする。
一つは固定し、他方の面をこれに平行に速さv0で動かす。
上の板を動かし続けるのに要する力は、板の面積とv0/dに比例する
(dは板の間の距離)ずりの応力F/Aはv0/dに比例し、
F/A=ηv0/d
であり、比例定数ηを粘性率という。
・流れに平行な面をもつ小さな、平たい長方形の部分を水の中に考えると、この部分を通して働くずりの力は
⊿F/⊿A=η⊿vx/⊿y=η∂vx/∂y (20.2)
一般の場合
Sxy=η(∂vy/∂x+∂vx/∂y) (20.3)
と書く。
・二つの同心円筒の間の流体の運動を考える。
内側の円筒は半径a、周辺速度vaをもち、外側の円筒は半径b、速度vbをもつとする。
軸からrの距離の液体に対する粘性によるずりの応力を表す式をつくる。
流れは常に接線方向であり、その大きさはrだけに関係すると仮定し、v=v(r)とする。
距離rの水に浮かべた小粒に着目すると、その座標はx=rcоsωt、 y=rsinωt
ここでω=v/rであり、速度のx、y成分は
vx=−rωsinωt=−ωy、vy=rωcоsωt=ωx (20.4)
である。(20.3)より、
Sxy=η[∂/∂x(xω)−∂/∂y(yω)]
=η[x∂ω/∂x−y∂ω/∂y] (20.5)
点y=0において∂ω/∂y=0でありx∂ω/∂xはrdω/drに等しいので
(Sxy)y=0=ηrdω/dr (20.6)
・半径rの円筒の面を通して働くトルクは、ずりの応力にモーメントの腕rと面積2πrlをかけて求める。
τ=2πr^2l(Sxy)y=0=2πηlr^3dω/dr (20.7)
ただし、lは円筒の長さ。
・rとr+drとの間の円筒形の殻の水に働く全トルクは0。
rにおけるトルクはr+drにおける等しくて符号が逆なトルクと釣り合わなければならない。
よってτはrに無関係で、r^3dω/drはある定数Aに等しい。dω/dr=A/r^3 (20.8)
積分して
ω=−A/2r^2+B (20.9)
定数AとBは、r=aでω=ωa、r=bでω=ωbの条件で定める。
A=2a^2b^2(ωb−ωa)/(b^2−a^2)
(20.10)
B=(b^2ωb−a^2ωa)/(b^2−a^2)
トルクを求めるには(20.7)と(20.8)から
τ=2πηlA
あるいは
τ=4πηla^2b^2(ωb−ωa)/(b^2−a^2) (20.11)