ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

宇宙が始まる前には何があったのか?

宇宙が始まる前には何があったのか? (文春文庫)

宇宙が始まる前には何があったのか? (文春文庫)

ローレンス・クラウス 「宇宙が始まる前には何があったのか?」メモ


第2章 いかに終わるのか?
・「宇宙はどんな終末を迎えるのだろうか?」

・銀河系内部の星や高温のガスを含む領域を観測をすると、それぞれの領域の運動速度は、その運動を駆動している重力が、銀河系の内部で観測されている天体の全質量から生じていると考えた場合よりも、はるかに大きい。
→銀河系の内部に存在する高温ガスおよび星の全質量よりも、はるかに大量の質量が存在している。

・ビッグバンで生まれたばかりの宇宙に存在した陽子と中性子の量を、今日の観測から推定される水素、ヘリウム、リチウムの存在量から計算すると、観測可能な星や高温のガスとして存在している物質量の2倍にあたる。

・銀河系の物質の運動を説明するために必要な「暗黒物質」の量を計算すると、すべてを合わせた(重力源としての)物質の総量と、観測可能な(光を出す)物質の量との比は、10対1。
暗黒物質を構成する粒子は、陽子と中性子ではありえない(陽子と中性子ではそれほど大量の物質を説明するには足りない)
 宇宙の物質の大部分は、エキゾチックな粒子である可能性がある。


・宇宙の実像を解明するための3つのステップ
1 今日の宇宙におけるエキゾチックな粒子の存在量を見積もるために、素粒子の相互作用についての知識が利用できること。

2 宇宙に存在する暗黒物質の総量を求めたり、暗黒物質を検出するための新しい実験を提案するため、素粒子物理学の理論的方法が利用できるかもしれないこと。

3 暗黒物質の正体とその存在量がわかれば、宇宙がどんな終末を迎えるかがわかる。


・物質とエネルギーが存在するところでは、空間が曲がる。
・空間が曲がるならば、宇宙の幾何学的性質が、この空間にどれだけの物質が含まれているかにより、全体としての宇宙が「開いた」幾何学、「閉じた」幾何学、「平坦な」幾何学のどれかの性質をもつことになる。

・星や銀河、暗黒物質などが宇宙のエネルギーの大部分を占めるような閉じた宇宙は、ビッグバンの逆のプロセス(ビッグクランチ)をたどり、ふたたび収縮する。
・開いた宇宙は、(ゼロではない)有限の速度で永遠に膨張を続ける。
・平坦な宇宙は、閉じた宇宙と開いた宇宙の中間にあたり、膨張はしだいに減速するが、完全に止まることはない。
暗黒物質の存在量を突き止め、宇宙に含まれるあらゆる物質の総質量密度がわかれば、「宇宙は爆発で終わるのか、すすり泣きで終わるのか」がわかる。

・重力を使えば、超銀河団の質量を測定し、それらが宇宙のなかでどの程度の密度で分布しているかを見積もることができ、暗黒物質も含めた「宇宙の重さを測る」ことができる。
・宇宙の重さがわかれば、一般相対性理論の式から、宇宙が閉じているかどうかを判定できる。


重力レンズ効果
 重力場の中で光の進路が曲がるのであれば、なんらかの質量分布の向こうに明るい天体が存在したとすれば、その天体からあらゆる方向に広がりながら進む光線は、途中にある質量分布のために進路を曲げられ、ふたたび収束する。

・銀河の運動は非常に速いため、星たちが及ぼす重力だけでその運動を説明しようとすると、銀河団内に現実に観測されているものよりも100倍以上の質量が必要になり、さもなければ銀河はバラバラに飛び散り、銀河団は消滅する。

・ツヴィッキーの重力レンズの使い方の3提案
1 一般相対性理論を検証するために用いる。
2 中間の銀河を一種の望遠鏡として利用する。
3 銀河団には、目に見える物質の質量よりも多くの質量が含まれるようにみえるという謎を解くために利用する。


・銀河と銀河の間を埋めるように分布している質量は、目に見える物質にすべて含まれている質量の40倍。
暗黒物質は銀河の中に閉じこめられていないばかりか、銀河団の質量のほとんどを暗黒物質が占めている。

・宇宙が平坦になるには、目に見える物質の100倍以上の暗黒物質が存在する必要がある。

・銀河や銀河団の内部に存在する暗黒物質の総量は、ビッグバン元素合成の計算から許される量よりもはるかに多い。

暗黒物質は何か全く新しいもの、地球上に普通は存在していないものであるが、たしかに物質ではある。


実験による検出の試み
暗黒物質は、光を生じさせる電磁的な相互作用をしないので、通常物質との相互作用はほとんどしない。→検出は非常に困難
・検出するには、宇宙線から十分に遮蔽された地下で行うしかない。


・宇宙に存在する物質の総質量は、今日の平坦な宇宙が生じるために必要な総質量の、わずか30%にすぎない。(目に見える物質の質量は、平坦な宇宙を作るために必要な質量の10%以下)


・観測によれば、われわれは永遠の膨張を続ける、開いた宇宙にすんでいる。