ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

ホモ・デウス -テクノロジーとサピエンスの未来-

ユヴァル・ノア・ハラリ 「ホモ・デウス」メモ 

ホモ・デウス 上下合本版 テクノロジーとサピエンスの未来

ホモ・デウス 上下合本版 テクノロジーとサピエンスの未来

 

 ユヴァル・ノア・ハラリ 「ホモ・デウス」メモ

 

第2部 ホモ・サピエンスが世界に意味を与える

第6章 現代の契約

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【まとめ】
・資本主義はこの地上での奇跡を約束し、それを実現できる。
 (飢餓と疫病の克服、暴力の制限、寛容さの拡大)
・生態環境のメルトダウンは、文明の存続そのものさえ脅かす。
・科学の進歩と経済成長を加速させる一方、生態環境の破綻よりもつねに一歩先を行かなければならない。
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<近代以前の取り決め>:力を放棄するのと引き換えに、自分の人生が意味を獲得できると信じる。
・神か自然の摂理の手になる壮大なドラマの中で約を演じている。
・戦争や疫病や旱魃でさえも、最後は最善の結果につながる。
・今ここではなくても、あの世では。


<現代の取り決め>:人間は力と引き換えに意味を放棄することに同意する。
・人生には意味がない。
・科学的な理解の範囲において、宇宙は盲目的で目的のないプロセスで、何一つ意味はない。
・人生に目的はなく、原因があるとだけ信じている。


・私たちを束縛するものは、自らの無知以外ない。
・方法を見つけられれば、疫病や旱魃を克服し、戦争をなくし、この地上に楽園を生みだし、そこで永遠に生きられる。
・テクノロジーが進歩して行けば、何でも望みがかなうようになり、どんな神にもそれを止めることができない。
・現代の取り決めは、人間に途方もない誘惑を、けた外れの驚異と共に提供する。
・現代文明は絶え間なく研究・発明・発見、成長を続けている。
・同時に大きな実存的不安に苛まれている。


・現代の力の追求は、科学の進歩と経済成長の間の連携が原動力。
・今日では成長で頭がいっぱいなのに対し、近代以前の人々は、成長は眼中になかった。
・人間の生活は一定で、子孫が自分たちよりも高水準の生活を送れるとは思わなかった。
・停滞状態に陥っていたわけは、新しい事業のための資金調達が困難だったから。
・資金が乏しかったのは、当時は信用に基づく経済活動がなかったから。
・経済成長すると人々が信じていないのは、経済が停滞していたからで、負のフィードバックが働いていた。


・信用に基づく経済活動の奇跡のおかげで悪循環が断ち切られた。
・信用とは、信頼の経済的な表れ。


・人々が将来の成長を信じなかった理由:成長が私たちの直感や進化の課程で受け継いできたもの、この世界の仕組みに反しているから。
・自然界の系の大半は平衡状態を保ちながら存在し、ほとんどの競争はゼロサムゲームで、他者を犠牲にしなければ繁栄はない。


・近代以前は、世界を不変のパイと見ていた。
・既存のパイを再分配するか、天国というパイを約束するかして、現在の資源の助けを借りて人類の問題を解決しようとした。


・現代は、経済成長は絶対不可欠という信念に基づいている。
・何か問題が起きたら、より多くのものが必要で、より多くを手にするには、より多くの生産が必要。
・成長が不可欠である三つの理由。
①生産が増えれば、より多くを消費して生活水準を上げられ、より幸せな人生を楽しめる。
②人口が増えているかぎり、現状維持のためにも経済成長が必要。
③幅広い層に生活水準を拡大するには、もっと大きなパイが必要。


・現代は、「より多くのもの」を、あらゆる公の問題や個人の問題に適用できる万能薬に変えた。
・経済成長は、現代のあらゆる宗教とイデオロギーと運動を結びつける重要な接点。
・成長は世界中で宗教のような地位を獲得した。
・経済成長の信奉を宗教と呼んでも差し支えない。
・人々は倫理的意見の相違を忘れ、長期的な成長を最大化するような行動指針を採用することを推奨される。
・「より多くのもの」という信条は、社会の平等、環境保護、親を敬うというような、経済成長を妨げることはすべて無視するように個人や企業や政府に強いる。


・自由市場資本主義は、科学の領域から宗教の領域へ足を踏み入れた。
・資本主義はこの地上での奇跡を約束し、それを実現できる。
 (飢餓と疫病の克服、暴力の制限、寛容さの拡大)
・資本主義は、人々が経済をゼロサムゲームと見なすのをやめ、皆が満足する状況と見るように促すことで、世界平和に重要な貢献をした。


・資本主義者が成長という至高の価値観の信奉から導き出す、第一の戒律:汝の利益は成長を増大させるために投資せよ。


・経済成長は永遠なのか?
・経済成長は新材料やエネルギー源の発見に基づいている。
・資源には三種類ある
 ①原材料
 ②エネルギー
 ③知識
・①と②は量に限りがあるが、③は増え続ける資源で、使えば使うほど多くなる。


<近代以前>:知る価値のあることはもう何もかもしっていると信じていた。
<現代>:科学による無知の発見。


・私たちには、資源の欠乏という問題を克服する可能性は大きい。
・現代経済の真の強敵は、生態環境の破壊。
・生態環境のメルトダウンは、経済破綻や政治の混乱、人類の生活水準の低下を招き、文明の存続そのものさえ脅かす。
・科学の進歩と経済成長を加速させる一方、生態環境の破綻よりもつねに一歩先を行かなければならない。
・生態環境の破綻が人間の社会階級ごとに違う結果をもたらしかねない。
・貧しい人のほうが豊かな人よりも苦しい目に遭う。
地球温暖化を止めるのに必要な経済的犠牲や社会的犠牲、政治的犠牲をはらおうとしていない。
・資本主義世界では、貧しい人々の暮らしは経済成長しているときにしか改善しない。


・現代の世界は、緊張や混沌のせいで人間が個人としても集団としても途中棄権しないよう、手を尽くす必要がある。
・現代世界は成長を至高の価値として掲げ、成長のためにあらゆる犠牲を払い、あらゆる危険を冒すべきであると説く。
・平衡状態は混沌より恐ろしく、貪欲は成長を促す善の力であると、近代世界は人間集団に確信させた。
・より多くを望むことを奨励され、強欲を押さえてきた昔ながらの規律は廃された。
・その結果生じた不安は、自由市場資本主義のおかげで和らいだ。


・現代の取り決めは前代未聞の力を与えることを私たちに約束し、その約束は守られた。
・その代償は、力と引き換えに意味を捨て去ること。
・人間たちはこの要求にどう対処したのか?
→人間至上主義の台頭