ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

ホモ・デウス -テクノロジーとサピエンスの未来-

ユヴァル・ノア・ハラリ 「ホモ・デウス」メモ 

ホモ・デウス 上下合本版 テクノロジーとサピエンスの未来

ホモ・デウス 上下合本版 テクノロジーとサピエンスの未来

 

 ユヴァル・ノア・ハラリ 「ホモ・デウス」メモ

 

第1部 ホモ・サピエンスが世界を征服する
第2章 人新世

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【まとめ】
・農業革命で、人間は家畜の主観的欲求を無視しながらもその生存と繁殖を確保する力を得た。
・農業革命は経済革命であると同時に宗教革命でもあった。
・人間至上主義は人間の名において現代の工場式農業を正当化してきた。
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・現在の世界に住んでいるのは、主に人間とその家畜たち。
・1970年代以来、野生動物の数は半減した。
・世界の大型動物(体重が数kgを越えるもの)の9割以上が人間か家畜。


・過去7万年間は、人類の時代を意味する人新世と呼ぶのがふさわしいかもしれない。
・この期間にホモ・サピエンスは地球上の生体環境に他に類のない変化をもたらす、最も重要な存在となったから。
・40億年前に生命が誕生して以来、一つの種が単独で地球全体の生体環境を変えたことはなかった。
・私たちが与える影響は、氷河時代地殻変動の影響と肩を並べている。
・あと100年のうちに、6500万年前に恐竜を一掃した小惑星の影響を越えかねない。


・サピエンスは地球を独立したさまざまな生態系ゾーンに分けていた壁を打ち壊した。
・この惑星は初めて単一の生態学的単位となった。
石器時代の祖先が東アフリカから世界中に拡がったとき、住み着いていたすべての大陸と島の動植物相を変えた。
・世界の他の全人類種や、オーストラリアの大型動物の9割、アメリカの大型哺乳類の75%、地球上の全大型陸生哺乳動物の半分を絶滅に追い込んだ。
・大型動物が犠牲になったのは、比較的数が少なく、繁殖に時間がかかったから。


・太古の狩猟採集民はアニミズムの信奉者だった。
・彼らは、人間を他の動物と隔てるような本質的な溝はないと信じていた。
・私たちは、動物を自分たちとは本質的に異なる、劣った存在と見なす。
アニミズムでは人間も動物の一種にすぎないと考えるのに対し、聖書によれば人現は無類の被造物で、自分の中に獣性を認めようとするいかなる試みも、神の力と権威を否定することになる。


・聖書も、人間は独特であるという信念も、農業革命の産物。
・農業が始まると、地球上に新しい生命体、家畜が誕生した。
・今日、大型動物の9割以上が家畜化されている。
・家畜化された種は、種全体としての成功は収めたものの、個体としては空前の苦しみを味わう羽目となった。
・家畜の運命を苛酷なものにしているのは、その生き方。
・家畜が野生の祖先から受け継いだ多くの身体的、情動的、社会的欲求が、人間の農場では余分になった。
・農業革命で、人間は家畜の主観的欲求を無視しながらもその生存と繁殖を確保する力を得た。


アルゴリズム:計算をし、問題を解決し、決定に至るために利用できる、一連の秩序立ったステップのこと。
・人間を制御しているアルゴリズムは、感覚や情動や思考により機能する。
・感覚や情動と呼ぶものは、アルゴリズムにほかならない。
・自然選択は、繁殖の確率を高める迅速なアルゴリズムとして情欲と嫌悪感を進化させた。
・私たちが下す決定の99%は感覚や情動や欲望と呼ばれる精密なアルゴリズムによってなされる。
アルゴリズムはあらゆる哺乳類と鳥類(一部のは虫類、魚類)の生活を制御している。
・あらゆる哺乳動物が共有している中核的な情動が母親と幼児の絆。


・有神論の宗教は、当初は農業と直結した企てだった。
・自分たちが家畜を利用し、人間の欲望やきまぐれのなすがままにしていることを、新しい有神論の宗教の名において正当化した。
アニミズムの宗教は、個性豊かな役者たちが数限りなく登場する壮大な京劇のようにこの世界を描き出した。
・有神論の宗教は、世界を人間と唯一神というたった二人の主要登場人物しかいない殺風景なドラマに作り変えた。
・有神論の新しいドラマの中では、サピエンスが主人公になり、森羅万象がサピエンスを中心に回り始めた。


・神々の二つの役割
①神はサピエンスのどこがそれほど特別で、なぜ人間が他のすべての生き物を支配し、利用するべきなのかを説明する。
キリスト教では、人間が被造物の支配権を造物主に与えら、神は人間だけに不滅の魂を与えた→動物には魂がないので、動物はただのエキストラにすぎない)
②神々は人間と生態系との間を取り持たなければならない。
(神々は作物や家畜を守り、生産高を増やす。それと引き換えに、人間は収穫を神と分かち合わなければならない。この取り決めは当事者同士には都合が良いが、それ以外の生態系が割を食う羽目になった。)


・狩猟採集民は、自分が優越した存在だとは考えていなかった。
・農耕民は、人間の夢と考えに制御され形作られる世界に住んでいた。
・農業革命は経済革命であると同時に宗教革命でもあった。
・感覚のある生き物から、ただの資産へという動物の降格は、動物でとどまることはなかった。
・ほとんどの農耕社会は、さまざまな階級の人々を資産であるかのように扱い始めた。


・人類は好奇心のおかげでこの世界の理解を深め、より強力になり、テクノロジーの楽園に向かいさらに一歩前進する。
・農耕民は自らを森羅万象の頂点と考えた。
・科学者たちは人間を神へとアップグレードする。


・農業革命:有神論の宗教を生み出した
・科学革命:人間至上主義の宗教を誕生させ、人間は神に取って代わった
・有神論者:神を崇拝
・人間至上主義:人間を崇拝
ホモ・サピエンスには、世界におけるあらゆる意味と権威の源泉である無類で神聖な本質が備わる。この宇宙で起こることはすべて、ホモ・サピエンスへの影響に即して善し悪しが決まる。


・人間至上主義は人間の名において現代の工場式農業を正当化してきた。
<工場式農業>
・人間の欲求や気まぐれや願望を神聖視するが、それ以外は軽んじる。
・動物には真の関心をまったく持たない(動物には人間性のもつ神聖さがないから)
・神を少しも必要としない。


・現代科学が感染症と病原体と抗生物質の秘密を解明。
 →工業化された檻や囲い、小屋の実現が可能になった。
・何万という家畜たちを窮屈なゲージに詰め込み、肉や牛乳や卵を効率よく生産可能。
・近年、人間と動物の関係を人々が見直し始めたため、そのような慣行は批判にさらされるようになってきた。
・私たちは「下等な生き物」の運命に今までにない関心を見せている。
→私たち自身が「下等な生き物」の仲間入りをしそうだから?