ユヴァル・ノア・ハラリ 「サピエンス全史」メモ
ユヴァル・ノア・ハラリ 「サピエンス全史」メモ
第4部 科学革命
第14章 無知の発見と近代科学の成立
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【まとめ】
・近代科学が従来の知識の伝統と異なる点
①進んで無知を認める意志。
②観察と数学の中心性。
③新しい力の獲得。
・科学研究は宗教やイデオロギーと提携した場合にのみ栄え、イデオロギーは研究の費用を正当 化し、一方で科学研究の優先順位に影響を及ぼし、発見された物事をどうするか決める。
・科学と帝国と資本の間のフィードバック・ループは、過去500年にわたり歴史を動かす最大 のエンジン。
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<過去500年間の発展>項目 500年前 現在 増分
ホモ・サピエンス 5億人 70億人 14倍
財とサービス 2500億ドル 60兆ドル 240倍
消費カロリー 13兆カロリー 1500兆カロリー 115倍
・1969年7月20日、人類は月に降りた立った。
→歴史的偉業、進化上の偉業、宇宙の偉業。
・過去500年間で最も瞠目すべき決定定期瞬間
・1945年7月16日、アメリカの科学者たちがニューメキシコ州アラモゴードで世界初の原子爆弾を爆発させた。
→人類は歴史の行方を変えるだけでなく、それに終止符を打つこともできるようになった。
・アラゴモードや月へと続く歴史的過程は、科学革命として知られている。
・この革命の間、人類は科学研究に資源を投入し、途方もない新しい力の数々を獲得した。
・過去500年間、人間は科学研究に投資することで自らの能力を高められると、信じるようになった。
・裕福な人々や政府がますます多くの資源を科学に投入した。
●無知な人
・近代科学が従来の知識の伝統と異なる点
①進んで無知を認める意志。
②観察と数学の中心性。
③新しい力の獲得。
・科学革命は知識の革命ではなく、無知の革命。・科学革命の発端は、人類は自らにとり最も重要な疑問の数々の答えをしらないという、重大な発見。
・進んで無知を認める意志があるため、近代科学は従来の知識の伝統よりもダイナミックで柔軟で、探求的。→世界の仕組みを理解したり新しいテクノロジーを発明したりする能力が大幅に拡大。
・近代の社会秩序がまとまりを保てるのは、テクノロジーと科学研究の方法とに対する、宗教的なまでの信奉が普及しているから。・この信奉は、絶対的な真理に対する信奉に、ある程度取って代わった。
●科学界の教義
・近代科学の核となる研究方法:経験的観察結果を収集し、数学的ツールの助けを借りてそれをまとめること。
・古い知識は不十分なものとみなし、新しい観察や実験に重点を置く。・現在の観察結果が過去の伝統と衝突したときは、観察結果が優先される。
・観察結果を数学的ツールを用いて包括的な説にする。
●知は力
・フランシス・ベーコンの主張:「知識」の真価は、それが正しいかどうかではなく、私たちに力を与えてくれるかどうかで決まる。
・科学とテクノロジーの関係は、ごく最近の現象。・西暦1500年以前、科学とテクノロジーはまったく別の領域だった。
・学者が体系的な科学研究を行うものではなく、無学な職人が試行錯誤を繰り返すことで生み出したもの。
・第一次大戦時、両陣営は科学者たちの援助を仰ぎ、膠着状態を打ち破り自国を救おうとした。
・科学は第二次大戦でさらに大きな役割を演じた。
・科学と産業と軍事のテクノロジーが結びついたのは、資本主義と産業革命が到来してから。
●進歩の理想
・歴史を通じて社会は二種類の貧困に苦しんできた
①社会的貧困:他者には得られる機会を一部の人が享受できない状態。
②生物学的貧困:食物や住む場所がないため生命そのものが脅かされる状態。
・世界の多くの国では、生物学的貧困は過去のものとなっている。
●ギルガメシュ・プロジェクト・死の問題:最も困難で興味深く、重要であり続けいている問題
・科学者にとり、死は避けようのない宿命ではなく、技術上の問題。・科学革命の最も重要なプロジェクトは、人類に永遠の命を与えること。
・平均寿命は、25~40歳から、全世界では約67歳、先進国では約80歳まで伸びた。
・死が最大の敗北を喫したのが、小児死亡率の分野
・不死を探求するギルガメシュ・プロジェクトは、完了までどれだけの時間がかかるのか?
・人間の一部が2050年までに「非死(アモータル)」になると言う人もいる。
●科学を気前よく援助する人々
・科学は他の人間活動を越えた優れた倫理的あるいは精神的次元で行われる営みではない。
・科学も経済的、政治的、宗教的関心により形作られている。
・適切な資金提供がなければ、どれだけ優れた知性を持っている人でも、それを埋め合わせることができなかったはず。
・ほとんどの科学研究は、それが何らかの政治的、経済的、宗教的目標を達成するのに役立つと誰かが考えているから資金を提供してもらえる。
・科学は自らの優先順位を設定できない。
・自らが発見した物事をどうするかも決められない。
↓
・科学研究は宗教やイデオロギーと提携した場合にのみ栄えることができる。
・イデオロギーは研究の費用を正当化する。
・引き換えに、イデオロギーは科学研究の優先順位に影響を及ぼし、発見されて物事をどうするか決める。
・科学と帝国と資本の間のフィードバック・ループは、過去500年にわたり歴史を動かす最大のエンジンだった。