ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

ホモ・デウス -テクノロジーとサピエンスの未来-

ユヴァル・ノア・ハラリ 「ホモ・デウス」メモ 

ホモ・デウス 上下合本版 テクノロジーとサピエンスの未来

ホモ・デウス 上下合本版 テクノロジーとサピエンスの未来

 

 ユヴァル・ノア・ハラリ 「ホモ・デウス」メモ

 

第3部 ホモ・サピエンスによる制御が不能になる
第10章 意識の大海

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【まとめ】
・テクノ人間至上主義は、ホモ・デウスを生み出すため、テクノロジーを使うべきと結論する。
・ホモ・デウス:人間の本質的特徴の一部を持ち続け、意識のない高性能なアルゴリズムにも見劣りしない、アップグレードされた心身の能力も享受する。
・テクノ人間至上主義は、人間の意志を操るテクノロジーの開発を目指すが、実現した場合、人間もただのデザイナー製品になってしまう。
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・今後の数十年間、新しいテクノ宗教がアルゴリズムと遺伝子を通しての救済を約束して世界を征服するかもしれない。
・宗教的視点から、世界で最も興味深い場所は、シリコンヴァレー。
・ハイテクの権威たちが新宗教を生み出しつつある。
・彼らは幸福や平和や繁栄、永遠の命さえ約束するが、テクノロジーの助けを借りて実現するという。


・新しいテクノ宗教の二つの主要なタイプ
 ①テクノ人間至上主義
 ②データ教


<データ教>
・人間はこの世界における自分の任務を完了したので、新しい種類の存在に松明を手渡すべき。


<テクノ人間至上主義>
・人間を森羅万象の頂点とみなし、人間至上主義の伝統的価値観の多くに固執する。
ホモ・サピエンスは歴史的役割を終え、将来はもう重要ではなくなる。
・はるかに優れた人間モデルであるホモ・デウスを生み出すため、テクノロジーを使うべきと結論する。
・ホモ・デウス:人間の本質的特徴の一部を持ち続け、意識のない高性能なアルゴリズムに対してさえ引けを取らずに済むような、アップグレードされた心身の能力も享受する。
・知能が意識から分離しつつあり、意識を持たない知能が発達しているので、人間は自分の頭脳を積極的にアップグレードしなければならない。
・私たちのゲノムに変更を加え、脳の配線を変えるだけで、第二の認知革命を引き起こせるかもしれない。
・進化論的人間至上主義が抱いていた古い夢(選抜育種や民族浄化)の、アップデート版の一変種。
遺伝子工学ナノテクノロジー、ブレイン・コンピューター・インタフェースの助けを借り、平和的にその目標達成を望んでいる。


・テクノ人間至上主義は、人間の心をアップグレードし、未知の経験や馴染みのない意識の状態へのアクセスを与えようとする。
・人間の心を改変するのは、複雑で危険な企て。
・私たちは、心というものを本当に理解していない。


・精神状態のスペクトルは、平均的な人間が知覚できるものよりはるかに大きい。
・存在しうる精神状態のスペクトルは無限かもしれないが、科学はそのうち二つしか研究していない。
 ①標準未満:感じたり、考えたり、意志を疎通させたりする能力が通常の水準に達していない状態
 ②WEIRD:健康で標準的と考えられている人々の精神状態
・人間の心や精神に関する科学研究の大半は、WEIRD社会の人々を対象に行われてきた。
・彼らは人類を代表するサンプルではない。


・近代以前の文化では、意識にはより優れた状態が存在する。
・近代の西洋文明は卓越した精神状態に対する信心や関心を失い、平均的人間の平凡な経験を神聖視した。
→近代以降の西洋文化は、尋常ではない精神状態を経験するこを求める特別な階級の人々を欠いている点で、類がない。


・あらゆる動物の精神状態のスペクトルの外には、さらに広大で馴染みのない大陸が待ち受けているかもしれない。
・将来、薬物や遺伝子工学、電子ヘルメット、直接的ブレイン・コンピューター・インターフェースがそうした大陸への航路を切り拓くかもしれない。


・医師や技術者や消費者は、ただ精神的問題を解決したがっているだけでなく、心をアップグレードしようとしている。
・どんな目的を目指すべきかもわからない。
ポジティブ心理学は、標準を越える精神状態の研究で、重要な数歩を踏み出したが、2016年の時点で、超標準の領域は、科学にとり人跡未踏のまま。


・人間の心に対する将来のアップグレードは、政治的な必要性と市場の力を反映する可能性が高い。
・体や脳をアップデートできるようになるかもしれないが、その過程で心を失いかねない。
→テクノ人間至上主義は人間をダウングレードするかもしれない。


・テクノ人間至上主義者が思いつくような、第二の認知革命は、効果的にデータ処理ができるものの、注意を払ったり夢を見たり疑ったりすることがほとんどできない人間を生み出すおそれがある。
・人間は何百万年にもわたり、能力を強化されたチンバンジーだったが、将来は特大のアリになるかもしれない。


・テクノ人間至上主義は、私たちの欲望がどの心的能力を伸ばすかを選び、それにより未来の心の形態を決めることを見込んでいる。
・内なる声のボリュームの上げ下げすることを学ぶと、本物の自己への信仰を捨てる。
・誰がスイッチを操作しているのか明白ではないから。
・本物の自己がないのであれば、どの声を黙らせ、どの声のボリュームをあげるかを、どう決めればよいのか?


・テクノ人間至上主義は、人間の意志がこの世で最も重要なものだと考える。
・その意志を制御したりデザインし直したりできるテクノロジーを開発させようとする。
・そのように制御可能になったら、その能力を使いどうすればいいのかわからない。
→神聖な人間もまた、ただのデザイナー製品になってしまうから。
・人間の意志と人間の経験が権威と意味の至高の源泉であると信じている限り、そのようなテクノロジーにはけっして対処できない。
・より大胆なテクノ宗教は、人間至上主義のへその緒を切断しようとする。
・あらゆる意味と権威の源泉として、欲望と経験に何が取って変わりうるのか?
→情報。
・最も興味深い新興宗教はデータ至上主義で、この宗教は神も人間も崇めることはなく、データを崇拝する。