ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

直立二足歩行の人類史 人間を生き残らせた出来の悪い足

ジェレミー・デシルヴァ 著  赤根洋子 訳「直立二足歩行の人類史」メモ

ジェレミー・デシルヴァ 著  赤根 洋子 訳
「直立二足歩行の人類史」メモ

第3部 人生の歩み

第13章 運動がつくりだす長寿物質
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【まとめ】
・マイオカイン(筋肉が産生して血液中に放出する分子)には抗炎症作用をもつものがあるが、身体を動かしているときにしか作られない物質。
・ウォーキングはガンや心疾患のリスクを低減し、目安は一日7500歩。
・健康で長生きしたかったら犬を飼え!
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・ヒトの骨格は2種類の骨でできている。
 1 骨の分厚い外郭:皮質骨、緻密骨
 2 細い骨(骨梁)が網の目のように張り巡らされたスポンジ状の海綿骨、関節部分に位置する。


・ヒトの骨量は二種類とも類人猿より少ない。
チンパンジーアウストラロピテクスネアンデルタール人更新世ホモ・サピエンスの関節部の海綿骨密度は同じで:30~40%
・現代人の骨密度:20~25%
・骨密度の低下は、最近の1万年間で突然起きた。
→祖先ほど歩き回らなくなったせい


遊牧民のほうが農耕民よりも骨密度が高い。
・運動量が少ない人のほうが骨密度が低い。
・人類は過去1万年間に、宇宙飛行士が1回の宇宙飛行で失うのと同じだけの骨量を失った。


★ウォーキングはなぜ健康にいいのか?
・運動不足による死亡リスクは肥満によるそれの2倍。
・毎日20分の散歩が死亡リスクを3分の1下げる。
・「鍛えたデブのほうが動かないヤセよりまし」


・生体内部の動きは活発。
・体内の分子は流入・流出を繰り返し、常に動いている。
・分子の複雑なダンスは混沌としていると同時に秩序立っている。
・ウォーキングはこのダンスに重大な影響を与える。


<乳ガン>------
・血液中を循環するエストロゲンは、女性の正常な生理の一環として乳房組織の細胞の成長と分裂を引き起こす。
細胞分裂するたびにコピーミスが起こる。
・細胞の成長・分裂の速さを制御する遺伝子に変異がおきると、腫瘍形成につながる危険がある。
・がん細胞を乳房内に留める働きをしている遺伝子に変異が起きると、転移起きる。
・毎年アメリカで4万人、世界で50万人以上が乳ガンで死亡する。
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・毎日歩くことで乳ガンのリスクを減らすことができる。
・運動により血中エストロゲンレベルが下がるから。
・運動が性ホルモン結合グロブリンという分子の産生を高める。
・この分子はエストロゲンと結合し、エストロゲン血中濃度を10~15%低下させる。
→乳房組織のDNAが変異するリスクも下がる。
・変異が起きた場合でも、運動には傷ついた自力修復を助ける働きがある。
・一日に20分間運動する被験者は、DNAのコピーミスを修復する能力がやや(1.6%)高かった。(メカニズムは不明)


・ガンが発生した場合でもウォーキングは役に立つ。
・運動により死亡リスクが40%低下する。
・運動によりガンの再発率が24%低下する。
・中等度の運動により13種類のガンのリスクが低下する。


アメリカ人の死因の25%が心疾患。
・ウォーキングには心臓死を防ぐ効果もある。
・一日に30分歩くと冠動脈疾患のリスクが18%下がる。
・冠動脈疾患は狩猟採集民には見られない。
タンザニア北部のハッザ族は平均的アメリカ人よりも14倍活動的。
・ハッザ族は年をとっても血圧・コレステロール値が低く、心疾患は皆無。


★歩いてもやせるわけではない
・活動的なハッザ族もアメリカのカウチポテト族も一日の総エネルギー消費量は同じ。
・一日当たりの許容エネルギー消費量は世界中どこでも同じ。
・ハッザ族は、徒歩で移動、食料採集、病気撃退、幼児を抱えて歩くためにエネルギーを使う。
・われわれは、炎症反応を強化することにエネルギーを使う。


・炎症反応:感染症と戦い、外傷を治すためにマクロファージというアメーバ状の大きな細胞が活性化すること。

<マクロファージ>-----
・免疫系の主要な要素。
・腫瘍壊死因子(TNF)と呼ばれる感染防御タンパク質を生産。
・TNFはウィルスや細菌感染したとき視床下部に指令を出し、体温を下げさせる(発熱)。
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・TNFの慢性的高値は心疾患と関連がある。
・ウォーキングがTNFの産生を抑える。
・早足で20分間ウォーキングすると、TNFの産生が5%減少。


★マイオカインの秘密
・インターロイキン6:白血球が互いに情報伝達するために使うタンパク質。
・レース終了後のマラソン走者のインターロイキン6値は、スタート時のそれより100倍高い。
・筋肉自身がインターロイキン6を産生し、それを血液中に放出している。
・多くの臓器は分子を産生し、それを血液中に放出することで他臓器に情報を伝達。
・筋肉が内分泌器官だとは考えられていなかった。
・筋肉が産生して血液中に放出する分子は100種類以上発見されている。
・これらの分子にマイオカインという総称が与えられた。


・マイオカインの1種であるインターロイキン6には抗炎症作用がある。
・インターロイキン6には腫瘍壊死因子(TNF)の産生を抑える作用もある。
→身体に備わった天然のイブプロフェン
・インターロイキン6には(マウスの)ガン性腫瘍を攻撃・破壊する「ナチュラル・キラー細胞」を動員する働きがある。


・マイオカインが働くためには、運動中の筋肉により産生される必要がある。
・その運動はウォーキングでなくたもよい。
・マイオカインを注射や飲み薬の形で投与できない。
・マイオカインは身体を動かしているときにしか作られない物質。


・われわれは一日に何歩歩くべきか?
・2011年から2015年にかけ、1万7千人近い女性(平均年齢72歳)に歩数計を装着してもらい一日の歩数を調べた。
・全員の平均値:一日に5490歩
・それから4年あまりの間に504名が死亡した。
・一日の歩数が生死の予測因子として有効であることが確認された。
・一日に4400歩以上歩いている女性は、2700歩しか歩いていない女性よりも生存確率が高かった。
・一日7500歩までは「歩数が多くなるほど、健康で長生き」という比例関係が見られた。
・7500歩を越えると違いは見られなくなった。
・もっと若い人に関しては伸びがとまる歩数は7500歩ではないかもしれない。
・現在の平均的歩数よりも2千歩多く歩くことを心がけるのがよい。
・今より毎日2千歩多くあるくための一つの方法は犬を飼うこと。