- 作者: トランスナショナルカレッジオブレックス
- 出版社/メーカー: ヒッポファミリークラブ
- 発売日: 1991/08
- メディア: 単行本
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トランスナショナル カレッジ オブ レックス編 「量子力学の冒険」
第四話 <L.V.de Broglie E.Schrodinger> 「新しい描像」メモ
<展開定理>
・複雑な電子の波は本当に単純なφのたし合わせから作れるか・空間と時間の関数Ψが次式で表すことできるかを「φnはお互いに直交している」
ことから証明する。Ψ(x,y,z,t)=Σ[n]Anφn(x,y,z)e^-i2πνnt
・規格化したφを使うためΨも規格化したψのたし合わせになる。
ψ(x,y,z,t)=Σ[n]Anφn(x,y,z)e^-i2πνnt
Cn(t)=Ane^-i2πνnt
とすると、ψは次式となる
ψ(x,y,z,t)=Σ[n]φn(x,y,z)Cn(t)
ψは「複雑な電子の波」のことなので、「複雑な電子の式」を満たさなければ
ならない。
∇^2ψ+4πiɱ∂ψ/∂t−8π^2 ɱɎψ=0
ψを上式に代入する。
∇^2Σ[n]φnCn(t)+4πiɱ∂/∂t(Σ[n]φnCn(t))
−8π^2 ɱɎΣ[n]φnCn(t)=0
Σ[n](Cn(t)(∇^2φn−8π^2 ɱɎφn)+4πiɱ ∂Cn(t)/∂tφn)=0
Σ[n](−8π^2 ɱνnφnCn(t)+4πiɱ ∂Cn(t)/∂tφn)=0
Σ[n](−i2πνnCn(t)−∂Cn(t)/∂t)φn=0
上式が成り立つためには、
−i2πνnCn(t)−∂Cn(t)/∂t=0
なので次式となる。
∂Cn(t)/∂t=−i2πνnCn(t)
よって、
Cn(t)=Ane^-i2πνnt
が証明された。
・振幅Anを求める
ψ(x,y,z,t)=Σ[n]Anφn(x,y,z)e^-i2πνnt
f(x)がどんな形であれ、φn(x)の振幅Anは
An=∫f(x)φn*dx
というようにして取り出せた。それは、f(x)は単純な波φnのたし合わせで、
f(x)=Σ[n]Anφn
で表せたから。
t=0のときのφ(x,0)はどう表せるか見る。
φ(x,0)=Σ[n]Anφn・e^-i2πνn0=Σ[n]Anφn
よって次式となる。
φ(x,0)=Σ[n]Anφn=f(x)
一般にφは時間と空間の関数になるが、φ(x,0)は空間のみの関数であり、
先ほどのf(x)と同じように考えることができる。Anは、
An=∫f(x)φn*dx
なので、次式となる。
An=∫f(x)φn*dx
=∫φ(x,0)φn*dx
固有関数Φnの振幅Anはt=0のときの複雑な電子の波φ(x,0)から展開で
きる。
第五話 <E.Schrodinger> 「さらば、マトリックス」メモ
・波のことば(シュレディンガーの式)に粒のことば(ハイゼンベルクの式)
が含まれていることを示す
・Hookeの場に従う場合(単振動)で考える。
<ハイゼンベルクの式を単振動の場合の形にする>
H(P0,Q0)ξ−Wξ=0
H(P0,Q0)=P0^2/(2m)+V(Q0)
V(Q0)=kQ0^2/2
なので、ハイゼンベルクの式は次式に書きかえられる。
(P0^2/2m+kQ0^2/2)ξ−Wξ=0
<シュレディンガーの式を単振動の場合の形にする>
∇^2φ+8π^2 ɱ(ν−Ɏ)φ=0
まず、Ɏ=V/h、ɱ=m/h、ν=E/hを使い単振動のポテンシャルVと
同じものをいれられるようにする。∇^2φ+8π^2 m/h(E/h−V/h)φ=0
∇^2φ+8π^2 m(E−V)φ/h^2=0
V=kx^2/2を代入すると次式となる。
∇^2φ+8π^2 m(E−kx^2/2)φ/h^2=0
<シュレディンガーのHookeの場の式をハイゼンベルクの式の形に似させる>
∇^2(=∂^2/∂x^2+∂^2/∂y^2+∂^2/∂z^2)をxの方向だけに
ついて考える。(d^2/dx^2)φ+8π^2 m(E−kx^2/2)φ/h^2=0
(−h^2/(8π^2m))(d^2/dx^2)φ−(E−kx^2/2)φ=0
(−h^2/(8π^2m))(d^2/dx^2)φ+kx^2・φ/2−Eφ=0
( (−h^2/(8π^2m))(d^2/dx^2)+kx^2/2)φ−Eφ=0
(((−h^2/4π^2)・d^2/dx^2)/2m+kx^2/2)φ−Eφ=0
−1=i^2、d^2/dx^2=d/dx・d/dxなので、次式となる。
((h/2πi・d/dx)^2/2m+kx^2/2)φ−Eφ=0
ハイゼンベルクのHookeの場の式と比べる。
(P0^2/2m+kQ0^2/2)ξ−Wξ=0
・記号のおさらい
記号 名前 意味 P0,Q0 マトリックス 行列の集まり ξ ベクトル 向きと大きさをもつ WとE エネルギー エネルギー h/2πi・d/dx 演算子 関数へ働きかけるもの
ハイゼンベルク シュレディンガー 意味 行列 P0 h/2πi・d/dx 演算子 行列 Q0 x 演算子 ベクトル ξ φ 関数 エネルギー W E エネルギー
・演算子:関数に働かせると新しい関数をつくるもの演算子をA、もとの関数をf(x)、新しい関数をg(x)とすると
Af(x)=g(x)
・マトリックス:ベクトルに働かせると新しいベクトルをつくる
マトリックスをA、ベクトルをη、新しいベクトルをζとすると
Aη=ζ
・ある演算子AとBの足し算
(A+B)とは、それがある関数f(x)に働いたときに
(A+B)f(x)
AとBがそれぞれに別々に関数f(x)に働いたものの足し算
Af(x)+Bf(x)
になるようなものの働き部分だけをまとめたもの。
(A+B)f(x)=Af(x)+Bf(x)
・あるマトリックスAとBの足し算
(A+B)とは、それがあるベクトルηに働いたときに
(A+B)η
AとBがそれぞれ別にベクトルηに働いたものの足し算
Aη+Bη
になるようなものの働き部分だけをまとめたもの。
⇒演算子の足し算が関数にする働きとマトリックスの足し算がベクトルにする
働きは等しい
・ある演算子AとBのかけ算
(AB)とは、それがある関数f(x)に働いたとき
(AB)f(x)
まずBをf(x)に働かせ、その結果できた新しい関数にAを働かす
A(Bf(x))
という2度の働きをf(x)への1度の働きにまとめたもの。
・あるマトリックスAとBのかけ算
(AB)とは、それがあるベクトルηに働いたとき
(AB)η
まずBをηに働かせ、その結果できた新しいベクトルにを働かす
A(Bη)
という2度の働きをηへの1度の働きにまとめたもの。