- 作者: ファインマン,坪井忠二
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1986/01/08
- メディア: 単行本
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第21章 調和振動子
21-1 線形微分方程式
・定数係数をもつ微分方程式
各項は従属変数を独立変数で微分したものに、ある定数を掛けたもの
次式は、 n階の定数係数線形微分方程式(各aiは定数)
and^nx/dt^n+an-1d^n-1x/dt^n-1+
・・・+a1d^x/dt+a0x=f(t)
21-2 調和振動子
・定数係数を持った線形微分方程式に従った運動をする最も簡単な力学系は、
バネに取り付けたおもり・上下方向の変位をx、バネは完全に線形であると仮定する。
はたらく力は−kxであり、おもさと加速度との積は−kxに等しいので、md^2x/dt^2=−kx
k/m=1とすると、
d^2x/dt^2=−x
・線形微分方程式の一つの解にどんな定数を掛けても、それもまた解になる。
・線形微分方程式が成り立つ場合、運動がどんなに強いものであっても、
時間に対しては同じように変化する。
・次のような形の解をもつ
x=cоsω0t
dx/dt=−ω0sinω0t
d^2x/dt^2=−ω0^2cоsω0t=−ω0^2x
・ω0tは運動の位相で、ω0tを2πだけ変えるには時刻tはt0だけ変わら
なければならない。ω0t0は角度の1サイクル分だけでなければならないt0=2π/ω0=2π√(m/k)
・重いおもりを使えば周期は長く、強いバネを使えば周期は短くなる
・振幅は運動をどのように始めるかできまり、それを初期条件という。
x=acоsω0(t−t1)
cоs(ω0t+Δ)=cоsω0tcоsΔ−sinω0tsinΔ
x=Acоsω0t+Bsinω0t
ただし、
A=acоsΔ および B=−asinΔ
d^2x/dt^2=−ω0^2xという微分方程式のすべての解は以下となる。
(a) x=acоsω0(t−t1)、
(b) x=acоs(ω0t+Δ)、
(c) x=Acоsω0t+Bsinω0t
ω0:各振動数 位相が1秒間に変化するラジアン数
a :振幅 おもりが到達する最大のふれ
Δ :振動の位相、ある基準からみた位相のずれ
21-3 調和振動と円運動
・粒子が一定の速さvで円運動をするならば、円の中心から粒子へ向けて引いた
動径は、時間に比例した角度だけまわる。θ=vt/R
dθ/dt=ω0=v/R
a=v^2/R=ω0^2R
x=Rcоsθ、y=sinθ
ax=−acоsθ=−ω0^2Rcоsθ=−ω0^2x
・粒子が円運動しているとき、その運動の水平成分は、中心からの水平移動距離
に比例した加速度をもつ。
21-4 初期条件
・t=0のときに、はじめの変位x0のところからある速度v0で運動を始めた
ものとする。AとBを計算する
x=Acоsω0t+Bsinω0t
xを微分してvを求める。
v=−ω0Asinω0t+ω0Bcоsω0t
t=0におけるxとvをx0、v0とする。
x0=A・1+B・0=A
t0=−ω0A・0+ω0B・1=ω0B
よって
A=x0、B=v0/ω0
・エネルギーの保存
x=acоs(ω0t+Δ)
v=−ω0asin(ω0t+?)
・運動エネルギーTと、位置エネルギーUを求める。
U=(kx^2)/2=(ka^2cоs^2(ω0t+Δ))/2
T=(mv^2)/2=(mω0^2a^2sin^2(ω0t+Δ))/2
T+U=mω0^2a^2[cоs^2(ω0t+Δ)+sin^2(ω0t+Δ)]/2
=mω0^2a^2
21-5 強制振動
・強制調和振動子:外力が働いている場合
md^2x/dt^2=−kx+F(t)
F(t)=F0cоsωt
x=Ccоsωt
−mω^2Ccоsωt=−mω0^2Ccоsωt+F0cоsωt
k=mω0^2
C=F0/m(ω0^2−ω^2)
・mは外力と同じ振動数で振動するが、その振幅は外力の振動数と振動子の
自己振動数とに依存する。