ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで (ハヤカワ文庫NF)
- 作者: スティーヴン・W.ホーキング,Stephen W. Hawking,林一
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1995/04/01
- メディア: 文庫
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第6章 ブラックホール メモ
<ブラックホール>
・十分な重さがあり物質が固くつまった星なら、光が脱出できないほど強い重力場をもつ。
・そのような星の表面から放出された光は、あまり遠くまでいかないうちに星の重力により引き戻される。
・そこから光がやってこないため、見ることはできないが、その重力は感じる
<星のライフサイクル>
・星は大量の気体(主に水素)が重力で凝集し、崩壊し始めるときに形成される。
・収縮するにつれて気体の原子は頻繁により大きな速さで衝突するようになり、気体は熱される。
・水素同士が衝突してもはねかえらず、合体してヘリウムを形成するほどに熱せられる。
・放出される熱が星を輝かせる。
・この熱は気体の圧力を重力とつりあうまで高め、気体はそこで収縮を止める。
・核反応で生じる熱が重力とつりあい、星は長い間安定を保つ。
・最後は水素その他の核燃料を使い果たす。
最初にもっていた燃料が多ければ多いほど、それを早くつかい果たす。・星は燃料が尽きると冷えはじめ、収縮する。
・星が小さくなると、物質粒子はたがいに近づき、パウリの排他原理にしたがってまちまちの速度をもたなくてはならなくなる。
→排他原理から生じる斥力により重力とつりあいをとり、一定の半径を維持できるようになる。・太陽の1倍半以上の質量をもつ冷たい星は、自分自身の重力に抗しきれない。
<白色矮星>
・質量がチャンドラセカール限界以下。
・半径は数千マイル、密度は1立方インチ当たり数百トン。
・それを形作る物質中の電子間に働く排他原理の斥力により支えられている。
<中性子星>
・質量が太陽のほぼ1〜2倍。
・半径は10マイル、密度は1立方インチあたり数億トン。
・中性子や陽子の間の排他原理による斥力により支えられている。
・チャンドラセカール限界よりも重い星の崩壊は排他原理でも止められない。→密度無限大の状態にまで崩壊する。
<ブラックホールのできかた>
・星の重力場は、時空内の光線の経路を、星が存在しなかった場合の経路とは異なったものに変える。
・光円錐も星の表面近くでは、少し内側に曲げられる。
星が収縮するにつれ、その表面の重力場も強くなり、光円錐はいっそう大きく内側に曲がる。
・光が星から脱出することはむずかしくなり、光は遠方にいる観測者にはより弱く、より赤くみえるようになる。
・星がある臨界半径以下に縮むと、重力場がきわめて強くなり、光が脱出できなくなるほど大きく光円錐を内側にまげてしまう。
・そこから脱け出して遠方の観測者のもとにたどりつくことができないような事象のあつまり、時空の一つの領域ができる。
・一般相対論に従う限り、ブラックホールの中には無限大の密度と無限大の時空湾曲率をもつ特異点が存在する。
・特異点では、科学法則も、未来を予測する方法も破綻する。
・特異点で予測可能性が失われても、ブラックホール外部の観測者には影響がない。
→重力崩壊により作られる特異点は、事象地平により外部から隠された場所にしか現れない。
・星の崩壊にからんで起きる急激な運動は、そこから放出される重力波のために星がどんどん球形に変わることを意味し、定常状態に落ち着いたときには完全な球形になる。
回転していない星はその形と内部構造に関わらず、重力崩壊のあとには完全な球形のブラックホールになり、その大きさは質量だけで決まる。
・重力崩壊したあとのブラックホールは、回転することはできても脈動することはできない状態に落ち着かざるをえない。
・このブラックホールの大きさと形はその質量と回転の速さだけで決まり、崩壊してそれを形成したもとの物体の性質とは関わりない。
・ブラックホールができるときには、崩壊した物体に関する大量の情報が失われる。