ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで (ハヤカワ文庫NF)
- 作者: スティーヴン・W.ホーキング,Stephen W. Hawking,林一
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1995/04/01
- メディア: 文庫
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第7章 ブラックホールはそれほど黒くない メモ
・時空内のどの点がブラックホールの中にあり、どれが外にあるのか。
・ブラックホールの境界、事象地平を形づくるのは、ブラックホールからすれすれのところで逃げだしそこね、ちょうど縁のところを永遠にうろついている光が時空の中でだどる経路。・事象地平上の光線の経路は平行であるか、あるいはたがいに遠ざかろうとしているのでなければならない。
・事象地平の面積はずっと同じか、時間とともに増大する。
減少することはない。
・熱力学の第二法則
孤立した系のエントロピーはつねに増大し、二つの系をくっつけると、結合した系のエントロピーは個々の系のエントロピーの和よりも大きくなる。
・事象地平の面積がブラックホールのエントロピーの尺度。
エントロピーをもった物質がブラックホールに落ち込むにつれ、その事象地平の面積は増えるので、ブラックホールの外部にある物質のエントロピーと事象地平の面積の和はけっして減らない。・ブラックホールにエントロピーがあるとすれば、温度があり、放射がなければならない。
・量子力学の不確定性原理によれば、回転ブラックホールは粒子を創生し、放出するはず。
・ブラックホールは第二法則が破れるのを防ぐのにちょうど必要な速さで粒子を放出している。
・ブラックホールは、あたかもその質量に依存するある温度をもった熱い物体であるかのように、粒子と放射を放出するはず。質量が大きいほどその温度は低い。・粒子はブラックホールの中からではなく、ブラックホールの事象地平のすぐ外側の”からっぽ”の空間生まれる。
量子力学の不確定性原理より、重力場や電磁場などすべての場を厳密にゼロに固定できないため、完全に”からっぽ”ということはあり得ない。→場の強さの値にはある種の不確定さ、すなわち量子的なゆらぎが存在する。このゆらぎは、ある時刻にいっしょに出現し、少し離れたのちふたたびいっしょになって消滅しあう、光あるいは重力の粒子の対と考えられる。
これらの粒子は仮想粒子。
・粒子/反粒子対は、一方が正のエネルギー、もう一方が負のエネルギーをもつ。
・実在粒子は常に正のエネルギーをもち、負のエネルギーをもつ粒子は、相棒をみつけてそれと心中しなくてはならない。・ブラックホール内部の重力場はきわめて強いため、その中では実在粒子でも負のエネルギーをもつことができる。
負のエネルギーをもつ仮想粒子がブラックホール内部に落ち込んで実在の粒子あるいは反粒子になることも可能。
相棒は正のエネルギーを持つため、実在の粒子あるいは反粒子としてブラックホール近傍から逃れ去ることも可能。この粒子は遠方の観測者にはブラックホールから放射されたと見える。・ブラックホールが小さければ小さいほど、負のエネルギーをもつ粒子が実在粒子になるために走らなければならない距離は短くてすむため、ブラックホールが粒子を放出する速さも、ブラックホールの見かけの温度もそれにつれて大きくなる。