ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

宇宙が始まる前には何があったのか?

宇宙が始まる前には何があったのか? (文春文庫)

宇宙が始まる前には何があったのか? (文春文庫)

ローレンス・クラウス 「宇宙が始まる前には何があったのか?」メモ


第3章 時間の始まりからやってきた光
・宇宙に含まれる全質量を測定して全体としての宇宙の曲率を求め、一般相対論の方程式で時間をさかのぼるアプローチは問題がある。
 理由:検知できない場所に質量が潜んでいる可能性があるため。
→観測可能な宇宙の幾何学を直接的に測定した方がよい。


宇宙背景放射を見ることは、生まれて間もない高温の宇宙の姿をじかに見ること。

・われわれと初期宇宙の間には壁があり、ビッグバンそれ自体を直接見ることはできない。


・誕生からおよそ30万年後の宇宙の温度はおよそ3千度で、放射は猛烈な勢いで飛び回り、宇宙の物質の大部分を占めている水素原子に衝突して破壊し、陽子と電子に分解した。
・このときよりも前の初期宇宙には、電気的に中性な物質は存在しなかった。
・宇宙に含まれる普通の物質(原子核と電子からなる物質)は、高密度のプラズマ状態で、荷電粒子が放射と相互作用している状態だった。


・放射は荷電粒子につかまるため、プラズマの中を進むことはできない。
・宇宙の過去を見ようとしても、宇宙のほとんどがプラズマ状態だった時期よりも前は見ることができない。
・宇宙の過去は、宇宙が電気的に中性になったとき、すなわち「最終散乱面」までしか見ることができない。


・「最終散乱面」から出た放射が、宇宙のあらゆる方向から飛んでくるはず。
・今では、放射は絶対温度で約3度になっている。
・最終散乱面の写真を撮影できたら、誕生してから30万年後の、新生児期の宇宙の姿をみることができる。


・地球上の観測者から見たとき、最終散乱面上に、角度にして1度ほどの距離を考えると、それは最終散乱面上では30万光年の距離に相当する。
・30万光年という距離を見込む角度がちょうど1度になるかどうかは、宇宙の幾何学による。
 平坦な宇宙:光線は直線に沿って進む
 開いた宇宙:時間をさかのぼるにつれ、光線は外側に広がる
 閉じた宇宙:時間をさかのぼるにつれ、光線は内側に集まる
・最終散乱面上に置かれた長さ30万光年の物差しを見込む角度は、宇宙の幾何学がどのようなものであるかにより違う。
→われわれからある距離に置かれた、ある長さを持つ物差しを見込む角度は宇宙の曲率で決まるので、単純に最終散乱面を撮影しただけの画像から、大きなスケールの宇宙の幾何学がわかる。


・最終散乱面の画像より、宇宙は平坦であることがわかった。
→質量測定による結果(開いた宇宙)と、宇宙の曲率を測定して推定(平坦な宇宙)された宇宙の幾何学は矛盾する。