小林晋平 「ブラックホールと時空の方程式」メモ
小林晋平 「ブラックホールと時空の方程式」メモ
第1章 ブラックホールを「表す」
1.1 ブラックホールとは?
・ひとたび吸い込まれれると光さえも出てくることができない穴のようなもの。宇宙空間に浮かぶ、球形の特殊な領域。
1.2 ブラックホール時空を数式で表す
・ブラックホールの数式(シュヴァルツシルト解)
ds^2=-(1-2GM/c^2r)d(ct)^2+dr^2/(1-2GM/c^2r)+r^2(dθ^2+sin^2θdφ^2)
・・・(1.1)
・ボールのように球形をしていて、静的なブラックホールを表す式。
・シュヴァルツシルト解で表されるブラックホールがシュヴァルツシルト・ブラックホール
・シュヴァルツシルト解の「枝葉」を落とす
ds^2=dr^2+r^2dθ^2 ・・・(1.4)
・直交座標
互いに直交するx軸とy軸を張り、それぞれの軸の目盛りで物体の位置を表示する方法。・極座標
ある点を中心とし、物体の位置をその点からの距離rと、ある軸からのかたむきの角度θで表す表示法。
・式(1.4)は極座標表示
・非ユークリッド幾何学:「曲がった図形」まで考えた幾何学
・シュヴァルツシルト解は、通常の三平方の定理が成り立たないような奇妙な空間における、2点間の距離を表す式。
1.3 数式から読みとれる物理
・シュヴァルツシルト解のrは半径(radius)のr。
・式(1.1)の右辺第1項と2項に共通の
1-2GM/c^2r ・・・(1.8)
は、rが
r=2GM/c^2 ・・・(1.9)
ならば右辺第1項はゼロ、第2項は分母がゼロにになる。
・この半径rはシュヴァルツシルト解にとって特別な値。
・万有引力定数:G=6.67 x 10^-11 m^3/(kg・s^2)・・・(1.10)
・真空中の光速:c=2.998 x 10^8 m/s = 秒速30万km・・・(1.11)
・太陽の質量:M=2 x 10^30 kgを考えると
r=2GM/C^2 = 3 km・・・(1.12)
となり、太陽を半径3km以下に圧縮するとブラックホールになることを意味する。
・シュヴァルツシルト解が異常になる場所、r=2GM/C^2の点は、ブラックホールの表面と考えられる。
→シュヴァルツシルト解はブラックホールの半径のこと
・数式には物理が隠れている。
・数式は言葉
・「変わらないもの」が変わらないのは、その背後に自然の美しさ(対称性)があるから。
・変わらないことを物理では「保存する」という。
・それが自然界がもつ対称性という性質。
1.4 本書の構成
三平方の定理(第1章)
↓
局所的な三平方の定理(第2章)
↓
極座標の三平方の定理(第3章)
↓
3次元の三平方の定理(第4章)
↓ ↓
4次元時空の線素 曲がった空間の表し方
(第5章) (第6章)
↓ ↓
アインシュタイン方程式(第7章)
↓
シュヴァルツシルト解(第8章)