ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

ブラックホールと時空の方程式

 小林晋平 「ブラックホールと時空の方程式」メモ

ブラックホールと時空の方程式:15歳からの一般相対論

ブラックホールと時空の方程式:15歳からの一般相対論

 

小林晋平 「ブラックホールと時空の方程式」メモ

第3章 測り方を変えてみる ~デカルト座標から極座標へ~

・無限小の三平方の定理極座標に書き換える。


 ds^2 = dx^2 + dy^2 ・・・(3.1)


 ds^2 = dr^2 + r^2dθ^2 ・・・(3.2)


・ある座標から別の座標に切り替えることを「座標変換」という。
極座標では原点からの距離rと、横軸からの傾きθで物体の位置を表す。


3.3 三角比とは


 cosθ=b/c, sinθ=a/c, tanθ=a/b ・・・(3.16)


 sin^2θ+cos^2θ=1 ・・・(3.17)

 tanθ=sinθ/cosθ ・・・(3.18)

 1+tan^2θ=1/cos^2θ ・・・(3.19)

 

f:id:lupoGTI:20190610182653p:plain

図3.7 三角比の定義


3.4 デカルト座標極座標の関係:三角比の応用と座標変換


 cosθ=x/r ⇔ x=rcosθ
  ・・・(3.24)
 sinθ=y/r ⇔ y=rsinθ


 r = √(x^2 + y^2), tanθ=y/x ・・・(3.25)

 

f:id:lupoGTI:20190610182938p:plain

図3.8

 

3.5 極座標での線素
極座標での線素とは「極座標で、無限小離れた2点間の距離を表すもの」


・離れた2点A,Bを考える
・点Aと点Bの距離は半径のズレΔrと角度のズレΔθで表す。
・点Aの座標を(r,θ)とすると、点Bの座標は(r+Δr, θ+Δθ)となる。

 

f:id:lupoGTI:20190610183023p:plain

図3.11


・Δr、Δθを無限に小さくしていけば、図3.12の左の「バウムクーヘンの切れ端図形」は小さくなるにつれてだんだん曲がりが小さくなり、「長方形」に近づく。

 

f:id:lupoGTI:20190610183107p:plain

図3.12


・角度の単位としてラジアン(弧度法、radian)を導入する。


 360°= 2π ・・・(3.27)


・角度θをラジアンで表すと、点Aを通る扇形の弧の長さは rdθ となる。
 (扇形の中心角がdθで、半径がrだから)
・長方形であれば対角線の長さは三平方の定理から求まるので、ABの長さは、


 (dr)^2 + (rdθ)^2 = dr^2 + r^2dθ^2 ・・・(3.28)


となる。

・「無限小離れた」2点A、Bの間隔は、デカルト座標極座標でそれぞれ


 dx^2 + dy^2 = dr^2 + r^2dθ^2 ・・・(3.29)


となり、次式を得る。


 ds^2 = dr^2 + r^2dθ^2 ・・・(3.30)


3.6 時空の三平方の定理を表す量:計量
・線素に現れる「計量」という量を導入する。
 2次元平面上の三平方の定理は、デカルト座標で書けば


 dx^2 = dx^2 + dy^2 ・・・(3.31)


極座標


 ds^2 = dr^2 + r^2dθ^2 ・・・(3.32)


・一般の線素はもっと複雑になり、座標にx,yを用いた直交座標では


 ds^2 = f(x,y)dx^2 + g(x,y)dxdy +h(x,y)dy^2 ・・・(3.33)


rとθで書いたときは


 ds^2 = A(r,θ)dr^2 + B(r,θ)drdθ + C(r,θ)dθ^2 ・・・(3.34)


といった線素が現れる。

・座標の無限小のズレの2乗やdxdy、drdθのように、異なる二つの座標の掛け算dx^8idx^jの前に関数がついて、それらの和をとったものが線素ds^2の中身。

・2次元なら線素は一般的に


 ds^2 = g11(dx^1)^2
+g12dx^1dx^2 + g21dx^2dx^1 + g22(dx^2)^2 ・・・(3.40)


と書け、x,yで表すと


 ds^2 = gxxdx^2 + gxydxdy + gyxdydx + gyydy^2 ・・・(3.41)


となる。


・2次元平面上の局所的な三平方の定理(ds^2=dx^2+dy^2)と上の式を見比べると


 gxx=1, gxy=0, gyx=0, gyy=1 ・・・(3.42)


極座標の場合は、


 ds^2 = grrdr^2 + grθdrdθ + gθrdθdr + gθθdθ^2 ・・・(3.43)


において


 grr=1, grθ=0, gθr=0, gθθ=r^2 ・・・(3.44)


となる。

・dxdyはdxdy=dydxなので


 gxydxdy + gyxdydx = (gxy + gyx)dxdy ・・・(3.45)


とまとめることができる。


 (gxy+gyx)/2


というxとyの入れ替えについて不変な量を導入し、これを改めてgxyと書くと線素は、


 ds^2 = gxxdx^2 + 2gxydxdy + gyydy^2 (ただしgiiはi,jについて対称) ・・・(3.46)


と表せる。

・何かを入れ替えたり変化させたりしても様子が変わらないとき、それは対称であるという。


 gij = gji ・・・(3.47)


・一般相対論の範囲で考えられているどんな時空も、線素は対称な量gijで表され、使っている座標を適当にx^1, x^2, ・・・x^Nと番号で表せば


 dx^2 = g11(dx^1)^2 + 2g12dx^1dx^2 + 2g13dx^1dx^3 + ・・・


     + g22(dx^2)^2 + 2g23dx^2dx^3 +・・・+gNN(dx^N)^2


   =Σ(i=1,N)Σ(j=1,N)gijdx^idx^j ・・・(3.48)


とシグマ記号を使ってまとめて書ける。

相対性理論では、次式のようにシグマ記号を省略することがある。


 ds^2 = gijdx^idx^j ・・・(3.49)


・和をとるのはgijdx^idx^jのように添え字が上下にあるときだけと決めると、AiB^jは


 AiB^j = Σ(i=1,N)AiB^j


    =A1B^1 + A2B^2 +・・・+ANB^N ・・・(3.50)


のように和をとることを意味する。

・線素は何次元であっても


 ds^2 = gijdxj^idx^j ・・・(3.51)


という形に収まり、gijはこの空間における三平方の定理の形を表す関数である。

・gijは、


 gij = gij(x^1, x^2,・・・,x^N) ・・・(3.52)


のように、空間の各点ごとに決まっている関数。これが局所的な三平方の定理、すなわち空間の曲がり具合を表す関数で、計量(メトリック、metric)と言う。
・一般相対論から導かれるアインシュタイン方程式を使うと、物質の密度や運動量に対して計量が定まり、空間の曲がり具合が決まる。