小林晋平 「ブラックホールと時空の方程式」メモ
小林晋平 「ブラックホールと時空の方程式」メモ
ds^2 = dx^2 + dy^2 ・・・(3.1)
ds^2 = dr^2 + r^2dθ^2 ・・・(3.2)
・ある座標から別の座標に切り替えることを「座標変換」という。
・極座標では原点からの距離rと、横軸からの傾きθで物体の位置を表す。
3.3 三角比とは
cosθ=b/c, sinθ=a/c, tanθ=a/b ・・・(3.16)
sin^2θ+cos^2θ=1 ・・・(3.17)tanθ=sinθ/cosθ ・・・(3.18)
1+tan^2θ=1/cos^2θ ・・・(3.19)
図3.7 三角比の定義
cosθ=x/r ⇔ x=rcosθ
・・・(3.24)
sinθ=y/r ⇔ y=rsinθ
r = √(x^2 + y^2), tanθ=y/x ・・・(3.25)
図3.8
3.5 極座標での線素
・極座標での線素とは「極座標で、無限小離れた2点間の距離を表すもの」
・離れた2点A,Bを考える
・点Aと点Bの距離は半径のズレΔrと角度のズレΔθで表す。
・点Aの座標を(r,θ)とすると、点Bの座標は(r+Δr, θ+Δθ)となる。
図3.11
・Δr、Δθを無限に小さくしていけば、図3.12の左の「バウムクーヘンの切れ端図形」は小さくなるにつれてだんだん曲がりが小さくなり、「長方形」に近づく。
図3.12
・角度の単位としてラジアン(弧度法、radian)を導入する。
360°= 2π ・・・(3.27)
・角度θをラジアンで表すと、点Aを通る扇形の弧の長さは rdθ となる。
(扇形の中心角がdθで、半径がrだから)
・長方形であれば対角線の長さは三平方の定理から求まるので、ABの長さは、
(dr)^2 + (rdθ)^2 = dr^2 + r^2dθ^2 ・・・(3.28)
となる。・「無限小離れた」2点A、Bの間隔は、デカルト座標と極座標でそれぞれ
dx^2 + dy^2 = dr^2 + r^2dθ^2 ・・・(3.29)
となり、次式を得る。
ds^2 = dr^2 + r^2dθ^2 ・・・(3.30)
3.6 時空の三平方の定理を表す量:計量
・線素に現れる「計量」という量を導入する。
2次元平面上の三平方の定理は、デカルト座標で書けば
dx^2 = dx^2 + dy^2 ・・・(3.31)
極座標は
ds^2 = dr^2 + r^2dθ^2 ・・・(3.32)
・一般の線素はもっと複雑になり、座標にx,yを用いた直交座標では
ds^2 = f(x,y)dx^2 + g(x,y)dxdy +h(x,y)dy^2 ・・・(3.33)
rとθで書いたときは
ds^2 = A(r,θ)dr^2 + B(r,θ)drdθ + C(r,θ)dθ^2 ・・・(3.34)
といった線素が現れる。・座標の無限小のズレの2乗やdxdy、drdθのように、異なる二つの座標の掛け算dx^8idx^jの前に関数がついて、それらの和をとったものが線素ds^2の中身。
・2次元なら線素は一般的に
ds^2 = g11(dx^1)^2
+g12dx^1dx^2 + g21dx^2dx^1 + g22(dx^2)^2 ・・・(3.40)
と書け、x,yで表すと
ds^2 = gxxdx^2 + gxydxdy + gyxdydx + gyydy^2 ・・・(3.41)
となる。
・2次元平面上の局所的な三平方の定理(ds^2=dx^2+dy^2)と上の式を見比べると
gxx=1, gxy=0, gyx=0, gyy=1 ・・・(3.42)
極座標の場合は、
ds^2 = grrdr^2 + grθdrdθ + gθrdθdr + gθθdθ^2 ・・・(3.43)
において
grr=1, grθ=0, gθr=0, gθθ=r^2 ・・・(3.44)
となる。・dxdyはdxdy=dydxなので
gxydxdy + gyxdydx = (gxy + gyx)dxdy ・・・(3.45)
とまとめることができる。
(gxy+gyx)/2
というxとyの入れ替えについて不変な量を導入し、これを改めてgxyと書くと線素は、
ds^2 = gxxdx^2 + 2gxydxdy + gyydy^2 (ただしgiiはi,jについて対称) ・・・(3.46)
と表せる。・何かを入れ替えたり変化させたりしても様子が変わらないとき、それは対称であるという。
gij = gji ・・・(3.47)
・一般相対論の範囲で考えられているどんな時空も、線素は対称な量gijで表され、使っている座標を適当にx^1, x^2, ・・・x^Nと番号で表せば
dx^2 = g11(dx^1)^2 + 2g12dx^1dx^2 + 2g13dx^1dx^3 + ・・・
+ g22(dx^2)^2 + 2g23dx^2dx^3 +・・・+gNN(dx^N)^2
=Σ(i=1,N)Σ(j=1,N)gijdx^idx^j ・・・(3.48)
とシグマ記号を使ってまとめて書ける。・相対性理論では、次式のようにシグマ記号を省略することがある。
ds^2 = gijdx^idx^j ・・・(3.49)
・和をとるのはgijdx^idx^jのように添え字が上下にあるときだけと決めると、AiB^jは
=A1B^1 + A2B^2 +・・・+ANB^N ・・・(3.50)
のように和をとることを意味する。・線素は何次元であっても
ds^2 = gijdxj^idx^j ・・・(3.51)
という形に収まり、gijはこの空間における三平方の定理の形を表す関数である。・gijは、
gij = gij(x^1, x^2,・・・,x^N) ・・・(3.52)
のように、空間の各点ごとに決まっている関数。これが局所的な三平方の定理、すなわち空間の曲がり具合を表す関数で、計量(メトリック、metric)と言う。
・一般相対論から導かれるアインシュタイン方程式を使うと、物質の密度や運動量に対して計量が定まり、空間の曲がり具合が決まる。