ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

サピエンス全史

ユヴァル・ノア・ハラリ 「サピエンス全史」メモ 

サピエンス全史 上下合本版 文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史 上下合本版 文明の構造と人類の幸福

 

 ユヴァル・ノア・ハラリ 「サピエンス全史」メモ

第2部 農業革命

第7章 書記体系の発明

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【まとめ】
シュメール人は、脳の外で大量の情報を保存して処理するシステム:「書記」を発明した。
・強大な古代文明は官僚制(大量の記録を保管、その目録を作り、それらを検索する優れた技術)を開発した。
・数理的書記体系は不完な書記体系であるが、世界の最も有力な言語となり、革命的な2進法の書記体系も生み出した。
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・何千、何百万人が関わる大規模な協力体制では、膨大な量の情報を扱い、保存する必要がある。
・アリやミツバチの大きな社会が安定していて強靱なのは、社会を維持するのに必要な情報の大半が、ゲノムにコード化されているから。


・サピエンスの社会秩序は「想像上」のものなので、DNAの複製を造ったり子孫に伝えるだけでは、その秩序を保つのに不可欠な情報を維持できない。
・法律や習慣、手順、作法などを守るには、意識的な努力が必要。
・その努力を怠ると、社会秩序はあっという間に崩れる。


・帝国は膨大な量の情報を生み出す。
・人間の脳は帝国サイズのデータベースの保存装置としては不足。
 ①容量が限られている。
 ②人間は死に、脳も一緒に死ぬ。
 ③人間の脳は特定の種類の情報だけを保存し、処理するように適応してきた。
→人間の脳は進化圧により動植物や地勢にまつわる情報や社会的情報を大量に保存するよう適応してきた。


・農業革命後の複雑な社会では、「数」が重要になった。
・大規模な王国を維持するには、数理的データが不可欠。
(税収、所得、財産、滞納金、負債、罰金等々)
・数理的データを扱う能力の限界のせいで、人類の集団の規模と複雑さは深刻な制約を受けた。
・この問題を最初に克服したのは、古代シュメール人
シュメール人は、脳の外で情報を保存して処理するシステムを発明した。
シュメール人が発明したこのデータ処理システムは、「書記」と呼ばれる。



・「書記」とは、記号を使い情報を保存する方法。
シュメール人の書記体系では、2種類の記号が使われ、粘土板に刻まれた。(6に基づく記数法と10に基づく記数法の組み合わせ)
・これら2種類の記号を組み合わせ、どんな人間の脳が記憶できるより、どんなDNA鎖がコード化できるよりも、はるかに多くのデータを保存できた。


・初期の段階では、書記は事実と数に限れられていた。
・シュメールの最初期の書記は、完全な書記体系(フル・スクリプト)ではなく、不完全な書記体系(パーシャル・スクリプト)だった。
・完全な書記体系とは、話し言葉をおおむね完全に記録できる記号の体系(ラテン語の書記体系、古代エジプト象形文字点字など、詩歌、人々が口に出すものをすべて表せる)。
・不完全な書記体系:限られた活動の分野に属する、特定の種類の情報しか記録できない記号の体系(現代数学の記号、音楽の記譜法)。


★官僚制の驚異
・紀元前3000年から紀元前2500年にかけて、しだいに多くの記号がシュメール語の書記体系に加えられた。
→楔型文字と呼ばれる完全な書記体系へ徐々に変わっていった。
・同じ頃、エジプト人象形文字という別の完全な書記体系を開発した。
・紀元前1200年ごろには中国、紀元前1000~500年ごろには中央アメリカで別の完全な書記体系が発達した。


・完全な書記体系は、初期の中心地から各地へ拡がり、新しい形を取り、斬新な役割を担うようになった。
(詩歌、歴史書、伝奇物語、戯曲、予言、料理本など)
・書記の最も重要な任務は、大量の数理的データを保存することであり続けた。


・行政文書が膨大になると、新しい問題が発生した。
・保存された大量のデータをどうやって効率よく検索し、利用できるか。
古代エジプトや中国、インカ帝国、シュメールが際だっているのは、記録を保管し、その目録を作り、それらを検索する優れた技術を開発したから。
・それらの文化は、筆写者や整理係、文書管理責任者、会計士のための学校にも投資した。
自由連想と網羅的思考は、分類と官僚制に道を譲った。


★数の言語
・9世紀より前に新しい不完全な書記体系が発明され、前代未聞の効率で数理的データを保存したり処理したりできるようになった。
・この書記体系は0から9までの10個の数を表す記号から成る。
・これらの記号は、古代インド人が最初に発明したが、アラビア数字として知られている。
・アラビア数字にいくつか他の記号(足し算、引き算、かけ算の記号など)が加えられた。
→近代的な数学的表記の基礎が生まれた
・この書記体系は現在でも不完な書記体系であるが、世界の最も有力な言語となった。
・物理や工学といった分野の全知識が、人間の話し言葉からほぼ完全に乖離し、数理的書記体系によってのみ維持されている。


・数理的書記体系は、これまで以上に革命的な書記体系を生み出した。
→0と1の二つの記号だけから成る、コンピューター処理の2進法の書記体系