ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

サピエンス全史

ユヴァル・ノア・ハラリ 「サピエンス全史」メモ 

サピエンス全史 上下合本版 文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史 上下合本版 文明の構造と人類の幸福

 

 ユヴァル・ノア・ハラリ 「サピエンス全史」メモ

第3部 人類の統一

第11章 グローバル化を進める帝国のビジョン

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【まとめ】
・帝国とは、①それぞれ異なる文化的アイデンティティと独自の領土をもつ、いくつもの民族を 支配し、②変更可能な境界と潜在的に無尽の欲をもつこと。
・帝国の建設・維持には大量殺戮、迫害がつきもので、その文化的業績の多くは被征服民族の搾 取によるもので、被征服民にとり、文化的同化の過程は過酷だった。
・帝国は人類の多様性が激減した大きな要因で、人類の文化はすべて、部分的には帝国と帝国主義文化の遺産。
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・過去の大半の文化は、どこかの無慈悲な帝国の餌食になった。
・その帝国は打ち破った文化を忘却の彼方へ追いやる。
・帝国は豊で不朽の文化の痕跡を残すことが多い。
・21世紀の人々のほぼ全員が、いずれかの帝国の子孫。


★帝国とは何か?
・帝国とは、二つの重要な特徴を持つ政治秩序のこと。
①それぞれが異なる文化的アイデンティティと独自の領土をもつ、いくつもの民族を支配していること。
②変更可能な境界と潜在的に無尽の欲をもつこと。
(自らの基本的構造・アイデンティティを変えることなく、次々と異国民や異国領土を呑み込み消化できる。


・帝国は、その由来や統治形態、領土の広さ、人口で定義されるのではない。
→文化的多様性と変更可能な国境により定義される。
 (アテネ帝国は自主的な同盟、ハプスブルク帝国は婚姻同盟)

・独裁的な皇帝に支配されている必要はない。
 (大英帝国は民主政体により支配)

・大きさも関係ない。
 (アテネ帝国は現代ギリシアよりも大きさ、人口ともに少ない。アステカ帝国は今日のメキシコより小さい)


・過去の世界には、今よりもはるかに多くの異なる民族がいて、それぞれが現在の典型的な民族よりも少ない人口を抱え、狭い領土を占めていた。
・帝国は人類の多様性が激減した大きな要因。


★悪の帝国?
・帝国に対する現代の批判
①帝国は機能しない。長期的には征服した多数の民族を効果的に支配するのは不可能。
②支配できたとしても、そうすべきではない。帝国は破壊と搾取の邪悪な原動力。どの民族もほかの民族の支配下に置かれるべきではない。


・帝国は過去2500年間、世界で最も一般的な政治組織。
・帝国は非常に安定した統治形態。
・帝国は外部からの侵略やエリート支配層の内部分裂により倒された。
・征服された民族は何百年も隷属状態にとどまり、帝国にゆっくり消化され、固有の文化は消え去った。


・古い帝国が倒れたあとにできた空白は、新しい帝国が進出して埋めた。


・帝国の建設と維持には、大量の人を殺戮し、残り全員を容赦なく迫害する必要があった。
・帝国の標準的手駒:戦争、奴隷化、国外追放、組織的大量虐殺


・帝国のエリート層は、征服から得た利益を軍隊や砦のために使うだけでなく、哲学や芸術、道義や慈善行為にも回した。
・人類の文化的業績の相当部分が、被征服民の搾取にその存在を負う。


・今日のほとんどの人は、祖先が剣を突きつけられ強制された帝国の言語で話し、考え、夢見る。


★これはお前たちのためなのだ
・最初の帝国はサルゴン1世のアッカド帝国(紀元前2250年ごろ)
サルゴンの政体の後継者:アッシリアバビロニアヒッタイト、ペルシア(キュロス大王)


・キュロスは、全世界を支配しているだけではなく、あらゆる人のためにそうしていると主張した。
・キュロスは隷属させた民族が彼を敬愛し、ペルシアの従属者であり幸運だと思うことを望んだ。
・キュロスは自分がユダヤ人を支配しているペルシア王とは考えなかった。ユダヤ人たちの王でもあり、彼らの福祉に責任があった。


・進化の結果、ホモ・サピエンスは他の社会的動物と同様、よそ物を嫌う生き物になった。
・「私たち」は互いに対する責任を負うが、「彼ら」には借りはなく、人間でさえない。
・キュロス以降の帝国のイデオロギーは、包括的・網羅的傾向を持っていた。
→全世界の基本的統一性、あらゆる場所と時代を支配する一揃いの原理の存在、互いに対する万人の責任を認めた。人類は一つの大家族とみなされる。


・近代西洋:公正な世界は別個のさまざまな国民国家から成る。
・中国:政治的分裂の時期は、混沌と不正の暗黒時代。
    →帝国が崩壊するたび、再統一を目指した


★「彼ら」が「私たち」になるとき
・多数の小文化を融合させ少数の大分化にまとめる過程で、帝国は決定的な役割を果たした。
・標準化は皇帝たちにとって大きな恵み。


・帝国のエリート層は、帝国の全住民の全般的な福祉のために働いていると本気で信じていた。
・天命が皇帝に授けられたのは、世界を搾取するためでなく、人類を教育するため。
→自らの支配の正当化


・帝国により広められた文化の概念は、エリート層が生み出したものではない。
・支配している諸民族から多くを吸収した混成文化を生み出した。
・被征服民にとり、文化的同化の過程は不快で、大きな心の痛手を残した。
・征服から受け容れまでの間の各世代は冷遇され続けた。


★歴史の中の善人と悪人
・人類の文化はすべて、部分的には帝国と帝国主義文化の遺産。


★新しいグローバル帝国
・紀元前200年ごろかあら、人類のほとんどは帝国で暮らしてきた。
・将来も人類の大半が帝国の中で暮らす。
・将来の帝国は、真にグローバルなものとなる。


・グローバル帝国は、特定の国家あるいは民族集団により統治されない。
・この帝国は、多民族のエリートに支配され、共通の文化と共通の利益によりまとまっている。