ジム・アル=カリーリ、ジョンジョー・マクファデン 「量子力学で生命の謎を解く」メモ
ジム・アル=カリーリ、ジョンジョー・マクファデン「量子力学で生命の謎を解く」メモ
第1章 はしがき
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【まとめ】
・コマドリの磁気感覚は伏角コンパスのように作用し、そのメカニズムは量子力学と関係がある。
・量子世界の決定的特徴
①波動と粒子の二重性。
②量子トンネル効果
③重ね合わせ
・測定は量子世界と古典世界の境界線上、量子の縁ぎりぎりに位置し、生命もその縁の上にいる。
・生命現象には量子力学の一面が重要な欠かせない役割を果たしている。
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・動物の渡りのメカニズムは何百年の間謎だった。
・もっとも謎めいているのは、ヨーロッパコマドリが持っている、地磁気の方向と強さを感知できる知覚である「磁気受容」。
・磁気受容は不可解な力。
・問題は地磁気がきわめて弱いこと。
・動物が地磁気を感知するには、体内のどこかで起きる化学反応がそれに影響を受けなければならない。
・細胞のなかの分子と地磁気との相互作用でもたらされるエネルギー量は、化学結合を切ったり作ったりするエネルギーの10億分の1にも満たない。
→コマドリはどうやって磁場を感知できるのか?
・鳥の感覚のしくみはふつうのコンパスと違う。
・コンパスは磁北極と磁南極の違いを区別できるが、コマドリは磁極と赤道の違いしか見分けられない。
・磁力線と地面が作る角度(伏角(ふっかく))を測るためのコンパス(伏角コンパス)を使うと、極の方向と赤道の方向を区別できる。
・北半球と南半球で磁力線は同じ伏角を示すため、北極と南極を見分けることはできない。
・コマドリの磁気感覚は伏角コンパスのように作用する。
・動物の体内で地磁気の伏角を感知できることを説明するメカニズムは、量子力学と関係がある。
・量子世界の決定的特徴
①波動と粒子の二重性。
・素粒子は波動のように振る舞い、光の波動が粒子のように振る舞う。
②量子トンネル効果
・エネルギー障壁を通り抜けるプロセス。
・「量子トンネル効果」を可能にするのも波動と粒子の二重性。
③重ね合わせ
・粒子が同時に多数の振る舞いをすることができる。
・重陽子が存在できるのは、量子重ね合わせにより二つの状態を同時に取ることができるから。
・遊離基(フリーラジカル):一番外側の電子殻にひとりぼっちの電子を持っている分子のこと
・ペアを組んだ電子はスピンを互いに反対方向へ向ける傾向がある。
・全体のスピンは打ち消しあってゼロになる。
・遊離基のなかにあるひとりぼっちの電子にはスピンを打ち消す相棒がいないため、全体としてスピンが残り、その遊離基は磁気的性質をもつ。
・そのスピンが磁場の方向へ向く。
・「高速三重項反応」プロセスで生成する遊離基のペアが、それに対して互いに「量子もつれ」状態にある電子をもつ。
・量子もつれ状態は、外部磁場の方向にきわめて敏感。
・量子もつれ:いったん一緒になった量子どうしはあ、互いにどれだけ遠くに引き離されても、瞬時にコミュニケーションがとれる。
・互いに宇宙の反対側にもっていかれた粒子どうしも、原理的にはずっと結びついている。
・測定という行為は、量子力学の持つ側面のなかで謎めいていて、議論の的になっている。
・量子世界で、粒子が同時に二つのことをし、壁をすり抜け、不気味なつながりを持つような振る舞いができるのは、誰にも見られていないときだけ。
・観測されたり測定されたりすると、古典的な物体と同じように振る舞う。
・測定は量子世界と古典世界の境界線上、量子の縁ぎりぎりに位置し、生命もその縁の上にいる。
・ヨーロッパコマドリは夜に渡りをするが、磁気コンパスを作動させるには少量の光(可視光の青色端の周辺)が必要。
・コンパスの作用に鳥の目が大きな役割を果たしている。
・クリプトクロムという光受容体が動物の目のなかに発見された。
・クリプトクロムは遊離基のペアを生成する能力を持つたんぱく質。
・クリプトクロムにより鳥の目が量子コンパスとして作用する。
・微少レベルで起きる量子現象は、我々が扱う大きい物体には作用しない。
・マクロな世界とミクロの世界の境界線は、物理学全体のなかでも深遠な問題の一つで、量子測定の現象と関係している。
・原子や分子は、生きていない個体の中ではランダムに散らばり不規則に振動している。
・液体や気体のなかでは、熱のためにたえずランダムな運動をしている。
・分散、振動、運動といったランダムな要因により、粒子の不安定な量子的性質は消えてしまう。
・物体を構成するすべての量子的粒子の作用が組み合わさり、それぞれが互いを「量子測定」する。
・それにより、身の回りの世界は正常に見えている。
・生命現象には量子力学の一面が重要な欠かせない役割を果たしている。
・量子世界と古典世界の縁に一する量子的性質を維持する特異な存在が生命であると主張する科学者の数も増えている。