ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

量子力学で生命の謎を解く

ジム・アル=カリーリ、ジョンジョー・マクファデン 「量子力学で生命の謎を解く」メモ 

ジム・アル=カリーリ、ジョンジョー・マクファデン 「量子力学で生命の謎を解く」メモ

 

第7章 量子の遺伝子

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【まとめ】
・DNAのペア形成は陽子を共有する水素結合であり、陽子を介したヌクレオチド塩基どうしのペアリングが、遺伝コードそのもの。
・陽子の位置は量子力学の法則で決まり、遺伝子の忠実性は量子的な法則で与えられている。
・生命全体の構造と振る舞いからDNA鎖上の陽子の位置にまでつながる秩序により生命は活動し、その秩序が遺伝の忠実性をもたらす。
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・遺伝(遺伝情報が世代から世代へ忠実に複製される能力)は、生命の中核をなす。
・DNAに書き込まれた遺伝子はたんぱく質酵素をコードしている。
・それらが代謝を通じて、すべての細胞に含まれるあらゆる生体分子、すべての生物のあらゆる特徴を作っている。

・自己複製が生命を定義する特徴。
・生命の存在を可能にしているのは、遺伝情報の忠実な複製プロセス。


◎忠実性
・生物がゲノムを正確に複製できるのは、生命の持つもっとも注目すべき重要な能力の一つ。
・DNA複製のエラー、突然変異の発生率は、通常10億分の1未満。


・複雑な生体組織を作るには、複雑な指示書が必要。
・忠実度の高い複製プロセスは生命に欠かせない。
・ヒトゲノムは約1万5000個の遺伝子をコードしている。
・世代ごとに数個の突然変異は問題ないが、数10個以上のエラーが起きると次世代に深刻な問題が生じる(遺伝病、子が成長できないなど)。


・DNAの二重らせん構造は、ただの足場でしかない。
・DNAの真の秘密は、このらせんが支えているものに潜んでいる。


・DNAのらせん構造は、糖とリン酸からなる背骨でできている。
・そこにグアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)、アデニン(A)という核酸塩基の列が乗っている。
・この1次元の配列が遺伝コード。


<遺伝物質の複製機構>
・一方の鎖に乗っている情報(塩基配列)が、もう一方の鎖に相補的に複製されている。
・一方の鎖に乗っているAは必ずもう一方の鎖のTと対をなす。
・同様にGは必ずCと対をなす。
・鎖どうしの塩基対形成は、水素結合という弱い化学結合で作られる。
・水素結合は、陽子を共有することで作られている。
・鎖どうしを引き剥がし、それぞれの鎖を鋳型にしてそれに相補的なもう一方の鎖を組み立てることで、もとの二重らせんの複製を二つ作る。


・DNAのコードは核酸塩基の繰り返し構造でできており、それぞれの繰り返し単位が4種類の塩基のうちの一つで占められているという意味で、非周期的。
・非周期的結晶が必ずしも量子レベルで情報をコードしているとは限らない。


・DNAのペア形成のもとは、相補塩基対を結びつけている化学結合(水素結合)。
・水素結合は、互いに相補的な塩基に含まれる1個ずつの原子が、1個の陽子、水素原子核を共有することで作られる。
・塩基Aと塩基Tがペアになるのは、Aの持っている陽子が、Tと水素結合を作るのにちょうどよい場所にあるから。
・AとCがペアになれないのは、陽子が正しい位置にないため、結合を作れないから。


・陽子を介したヌクレチド塩基どうしのペアリングが、世代ごとに複製され受け継がれる遺伝コードそのもの。
・細胞は生きている限り、たんぱく質製造工場に酵素を作る指示を出し、細胞のすべての活動を統制するため、つねに遺伝コードを読み続けなければならない。
・そのプロセスを担うのが「RNAポリメラーゼ」で、DNAポリメラーゼと同じく、陽子の位置をDNA鎖に沿って読みとっていく。
・二重らせん上の陽子の位置が生命の物語を決める。


・陽子の位置は、古典的法則ではなく、量子力学の法則により決まる。
・遺伝コードは、量子コードということになる。
・遺伝子の忠実性は量子的な法則で与えられている。
・生命全体の構造と振る舞いからDNA鎖上の陽子の位置にまでつながる秩序により生命は活動し、その秩序が遺伝の忠実性をもたらしている。


◎非忠実性
・遺伝コードの複製プロセスがつねに完璧だったら、生命は進化できず、数々の問題にも対応できなかった。
・複製エラーにより変化に適応しなかったら、生命は滅んでいた。
・突然変異は遺伝子の変化を促し、単純な微生物を多様な生物圏へ変えた。
・わずかな非忠実性が、十分な時間のなかで長い道のりをたどってきた。


◎キリン、マメ、ショウジョウバエ
・生きているうちに獲得した形質は、子に受け継がれない。


ダーウィンの進化論>
・適者生存:自然が、完全でない子孫を適応した個体へ仕立て上げる。


・自然選択だけでは、進化の物語の半分しか説明できない。
・進化が起きるためには、自然選択のきっかけとなる個体差の源が必要。
→ごく小さな遺伝的変異に自然選択が作用することで、きわめてゆっくりと進化が起きる。
有性生殖は缶に入ったペンキを混ぜ合わせるものではなく、膨大な色や模様の小石を入れたいくつもの壷でたとえることができる。
・遺伝子が個体差を安定的に提供し、それにより自然選択が作用する。


<新ダーウィン説>
ダーウィンの自然選択仮説およびメンデルの遺伝の法則と突然変異説の融合。
・子に受け継がれる遺伝的違いのおおもとは突然変異。
・その大部分はほとんど影響を与えず、有害なこともあるが、稀に親よりも適応した変異体が生まれる。
・自然選択のプロセスが作用し、適応度の低い変異体が集団から取り除かれ、より成功した個体は生き延びて繁殖する。
・やがてより適応した個体が標準となり、「親から受け継いだごく小さな変異が保存され積み重なる」ことで進化が進む。


・新ダーウィン説の鍵:突然変異は”ランダム”に起きるのであり、環境の変化に合わせて変異体が作られるのではないという原理。
・突然変異の発生率は環境による選択圧には影響されない。
・突然変異の原因(放射線、変異特性をもつ化学物質など)は、DNA分子の鎖のどこかをランダムに傷つけ、それが有利に働くかとは関係なしに、影響を受けたすべての遺伝子を変異させる。


◎陽子によるコード
・水素結合は陽子の共有で作られている。
・陽子は量子的存在であり、粒子と波動としての性質をもち、非局在化している。
・陽子は二つの塩基のあいだで跳ね回る波のようににじんだ存在として振る舞う。
・陽子が存在する可能性がもっとも高い場所は、二つの塩基の片方にずれていて、どちらか一方の鎖により近い。
・この非対称性がDNAの重要な特徴をもたらす。


・互変異性体:遺伝文字を結びつける二個の陽子が、それぞれ水素結合の反対端にジャンプしてできるもう一つの塩基
核酸塩基は正規形と互変異生体という二つの形で存在できる。
・互変異生体のときにDNAが複製されると、新たに作られたDNA鎖には突然変異が生じ、そのDNA配列の変化は子孫に受け継がれる。


・陽子はなぜ間違った位置へ移動するのか?
→量子トンネル効果。
・互変異生体の生成にトンネル効果が関わっているとすれば、量子の不気味さがが進化を引き起こす突然変異にも役割を果たしていることになる。
・互変異生体が存在していても、それにより生じるエラーの大半はエラー訂正プロセスで取り除かれ、DNA複製の忠実性が確保されている。
・量子トンネル効果で引き起こされ、エラー訂正メカニズムをすり抜けたエラーは、突然変異の源となり、生命進化を促しているかもしれない。


・陽子のトンネル効果が突然変異を引き起こしていることは証明されていない。
・突然変異の原因はいくつもあり、変異を修復するメカニズムも存在する。


・遺伝コードは量子的粒子で書かれているので、遺伝にとってその関係性は重要。
・生命の古典的構造・機能は量子的遺伝子によりコードされている。
・量子の世界で情報をコードすることを発見していなければ、生命が地球上で生き延び進化することはできなかった。
・突然変異に量子力学が直接的で重要な役割を果たしているかどうかは明らかになっていない。