ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

証券分析入門 メモ

井手正介 高橋文朗

「証券分析入門」メモ

 

第4章 株価形成と投資尺度
3 よく使われる株式評価尺度
<株価収益率:Price-Earnings Ratio, PER>
・株価を前期実績または今期予想の1株当たり利益(Earnings per Share, EPS)で割った数字。


  株価収益率(PER)=株価/1株当たり利益


・PERが高い:投資家は現在の利益水準に比べて株価を高めに評価(利益成長を期待している)


配当利回り:Dividend Yield>
・1株当たり配当を株価で割った指標で、株価に対してどれだけのインカムゲインがあるかを示す。


  配当利回り=1株当たり配当/株価


<株価売上高比率:Price-Sales Ratio, PSR>
・株価を1株当たり売上高で割った比率


  株価売上高比率=株価/1株当たり売上高


・この比率が意味をもつのは、企業の利益が一時的要因で落ち込んだり、赤字のため、現在の利益水準をもとに株価を評価できないとき。


<株価純資産倍率:Price to Book Ratio, PBR>
・株価を1株当たり純資産(1株当たりの株主資本の簿価)で割った比率


  株価純資産倍率=株価/1株当たり純資産


・1株当たり株主資本の簿価というストックとの比較で株価評価する尺度。
・PBRが1未満だからといって、業績面から見て株価が割安であるとは限らない。


第8章 財務諸表の見方
1 賃借対照表
・賃借対照表は、企業の財政状況を示す財務諸表。
・資産、負債、資本の三つに分かれる。
・負債と資本は、企業が事業に必要な資金をどのように調達しているかを示す。
・資産は、それらの資金をどのようにして運用しているかを示す。
・資産=負債+資本という関係が成り立つ(バランスシートとも呼ばれる)


<資産>
・企業が保有する「実物資産」、「金融資産」、「債権」など。


流動資産:1年以内に現金化される資産
・「現金及び預金」、
 「受取手形及び売掛金」、
 「有価証券(保有期間1年以内)」、
 「棚卸し資産(原材料・半製品・完成品)」などを含む


・固定資産:現金化まで1年以上を要する資産
・「有形固定資産(土地、建物、機械など)」、
 「無形固定資産(著作権、ソフトウェア、営業権など)」、
 「投融資」などを含む


<負債>
・返済義務があるもの(借入金など)、対価を支払わなければならないもの(買掛金など)、将来、見込まれる支出に対しての準備(引当金など)などからなる。


・流動負債:1年以内の返済期限があるもの
・「支払手形」、
 「買掛金」、
 「短期借入金」、
 「未払費用」などを含む。


固定負債:返済期限が1年以上のもの
・「長期借入金」、
 「社債」、
 「退職給付引当金」などを含む


<資本(株主資本)>
・株主からの出資額と内部留保された利益からなる。
・資産から負債を引いた金額に等しく、純資産とも呼ぶ。
・「資本金」、
 「資本剰余金(株式の時価発行に際して資本金に組入れられなかった部分)、
 「利益剰余金(過去計上した利益のうち、配当金や役員賞与などが支払われた残りの部分)」、
 「自己株式(自社の株式を企業が買い取った金額)」などから構成。


2 損益計算書
損益計算書は、企業の一定の期間内の企業の損益状況を表す財務諸表。

<売上高>
・通常事業から得られた収入で、企業の利益の源泉。


売上総利益
・売上高から売上原価(製造・仕入原価)を引いたもの。


<営業利益>
売上総利益から販売費(販売活動に関する費用)・一般管理費(本社費用など)を引いたもの。
・企業が営業活動から上げた利益を表す。


<経常利益>
・営業利益に営業外収益(受取利息、受取配当など、事業活動以外からはいってきた収入)を加え、営業外費用(支払利息など、事業活動以外で発生した費用)を引いたもの。


特別損益
・臨時に発生した損益。
・固定資産売却損益、投資有価証券評価損益など。


<当期利益(純利益)>
・経常利益に特別損失を加えたものが、税引前当期利益。
・これらから法人税等を引いたものが当期利益(純利益)。
・当期利益は株主に帰属する利益。


3 キャッシュフロー計算書
<営業活動によるキャッシュフロー
・商品の販売による収入、仕入代金の支払い、経費の支払いなど営業活動に伴う資金の収支。


<投資活動によるキャッシュフロー
・有形固定資産の取得・売却、関係会社株式や貸付金の増減、投資有価証券の取得・売却にともなう収支。


<財務活動によるキャッシュフロー
・借入金の調達や社債の発行・返済、株式の発行、自己株式の取得、配当金の支払いにともなう資金の収支。


第9章 「証券分析の父」グレアムと愛弟子バフェット
<5つの「割安」基準と5つの「安全性」基準>
・割安の5つの尺度
①株式益利回り(PERの逆数)がトリプルA格社債利回りの少なくとも2倍以上になっていること。
②株価収益率が対象とする全銘柄の中で低いほうから10%に入っていること。
配当利回りがトリプルA格社債の少なくとも3分の2以上になっていること。
④株価が1株当たり純資産額(簿価)の3分の2を下回っていること。
⑤株価が1株当たり純流動資産流動資産合計ー流動負債合計)の3分の2を下回っていること。


・「安全性」の5つの尺度
①簿価の負債合計が株主持分(自己資本)合計よりも少ないこと。
流動資産合計が流動負債合計の2倍以上であること。
③負債合計が純流動資産の2倍以下であること。
④過去10年間の1株当たり利益の平均成長率が、複利ベースで年平均7%以上(10年で2倍)であったこと。
⑤過去10年間に1株当たり利益が前年比5%以上減少した年が2回以内であったこと。

→グレアムは、5つの「割安」基準のどれか1つと、5つの「安全性」基準のどれか1つを同時に満たす銘柄が見つかれば、「本当のお買い得」と考えた。


・高収益を生む有料ブリッジ型の消費関連事業を、バフェットは4つのタイプに分類した。
①長期使用や保存が難しく、強いブランド力を持ち、販売業者が扱わざるをえないような製品を作る事業。
②ほかの企業が事業を続けるために持続的に使用せざるをえないコミュニケーション関連事業。
③企業や個人が日常ベースで使用し続けざるをえないサービスを提供する事業。
④宝石・装飾品や家具などの分野で、事実上地域独占力を持っている小売流通事業。


8つの基準
基準1 消費者独占力を持つと思われる製品・サービスは何か。
基準2 1株当たり利益(EPS)が力強い増加基調にあるか。
基準3 多額の負債を抱えていないか
基準4 株主資本利益率(ROE)は十分高いか
基準5 現状維持するために内部留保利益の大きな割合を再投資する必要があるか。
基準6 内部留保利益を新規事業や自社株買いに自由に使用できるか。
基準7 インフレを価格に転嫁できるか。
基準8 内部留保利益の再投資による利益が株価上昇につながっているか。