ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

直立二足歩行の人類史 人間を生き残らせた出来の悪い足

ジェレミー・デシルヴァ 著  赤根洋子 訳「直立二足歩行の人類史」メモ

ジェレミー・デシルヴァ 著  赤根 洋子 訳
「直立二足歩行の人類史」メモ

第2部 二足歩行の起源
第7章 1マイル歩く方法は1つではない
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【まとめ】
アウストラロピテクスのさまざまな種の間にはさまざまな違いがあるが、共通する特徴は、二足歩行。
アウストラロピテクス・セディバは過回内足で、現世人類とも他種のアウストラロピテクスとも違う歩き方だった。
・人類の進化を通じて歩き方は一つだけと考えられてきたが、数百万年前、アウストラロピテクスの複数の近縁種が異なる環境下で生活し、それぞれ少し違った歩き方で歩いていた。
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★「化石を見つけておいで」「見つけたよ」
・2008年、ヨハネスブルク マラパ洞窟でニ体のホミニンの化石が見つかった。
・一体は男児の骨格だった。
・死亡時に8歳くらいで、頭骨は完全な状態だった。
・マラパ・ホミニン1(MH1)と名付けられた。
・もう一体のマラバ・ホミニン2(MH2)はメスの大人だった。
・ニ体とも、腕、肩、顎、頭骨に複数のひびが入っていた。
・骨折は彼らがまで生きていたときに起きた。
・50フィート以上の深さの縦穴にい落ちて死亡し、化石化した。
石灰岩層の年代測定より、MH1とMH2が死んだのは197万7千年前だった。
アウストラロピテクスの新種で、アウストラロピテクス・セディバと命名され、ホモ属(現世人類もホモ属に属す)の直接の祖先に当たるアウストラロピテクスかもしれない。


・距骨は脛骨とともに足首の関節を形づくる。
・足骨の最上部に位置する骨。
・その距骨はヒトのそれに似ていた。
・距骨は個体差の大きい骨。


・脛骨はヒトとルーシーの両方に似ていた。
・内くるぶしの出っ張った骨の塊(肉果)だけは違っていた。
・出っ張りはヒトやルーシーよりずいぶん大きかった。
・これだけ大きな肉果をもつのは類人猿だけ。


・踵骨は歩くときに最初に着地する骨。
・ヒトの場合、踵骨は足首の中で最大の骨で、小さめのジャガイモくらいの大きさ。
・ルーシー(アウストラロピテクス・アファレンシス)の踵骨も大きい。
・二足歩行の際にかかる力を吸収するのに適したがっしりした形。
・ラトエリの足跡も、足跡の主が大きな踵をもつことを示す。
・セディバの小さな踵骨はチンパンジーのそれに似ていた。
・二足歩行する生物の踵には見えない。


★セディバの歩き方
・最古のアウストラロピテクスの化石:ケニアの湖岸の地層とエチオピアの森林地帯の土壌から見つかった420万年前のもの。
・最も新しいものは、南アフリカの洞窟で発見された100万年前の化石。
・この300万年の間、アウルストラロピテクスは多様化し、さまざまな種にわかれた。
・1ダース以上もの種がアウストラロピテクス属に分類され、種名がつけられた。


アウストラロピテクスの種名の元祖:レイモンド・ダートが自身の発見した「タウング・チャイルド」のつけたアウルストラロピテクス・アフリカヌス。
・ルーシーの属する種:アウストラロピテクス・アファレンシス
・知られている最古のアウストラロピテクスアウストラロピテクス・アナメンシス


アウストラロピテクスのさまざまな種の間にはさまざまな違いがあるが、共通する特徴は、二足歩行。
・二足歩行と一口に言っても実態は複雑。


・アファレンシスは、足関節はヒトに似ているが、その他の部分は類人猿に似ている。
・アフリカヌスは、足関節は類人猿のようだが、その他の部分はヒトに似ている。


・セディバの足骨:ルーシーよりも100万年新しいにも関わらず、アファレンシスのそれと比較すると人間らしさから遠ざかっていた。
・膝や骨盤や腰背部の構造より、セディバが二足歩行していたことは明らか。
・その歩き方は現世人類とも他種のアルストラロピテクスとも違う。


・セディバの踵、足首、足底の解剖学的特徴より、類人猿に酷似している。
・セディバの足は、骨の一つ一つが他種のアウストラロピテクスや現世人類と違っている。


・セディバの大腿骨膝蓋面の外側隆起が高い。
・大腿骨膝蓋面外側の隆起は、膝蓋骨を正しい位置に保つ擁壁の役割を果たす。
・類人猿の大腿骨膝蓋面にはこのような構造はみられない。
・これは二足歩行のホミニンだけにみられる特徴。
・セディバの隆起の大きさは人間以上。


アウストラロピテクス・セディバは過回内足だった。
・小さな踵をもつセディバには、人間のような歩き方はできなかった。
・セディバの歩き方は類人猿に似ていた。
・扁平足で小刻みに歩き、足の外側から着地した。
・セディバが足の外側から着地すると、地面に押し返されることにより足は親指側に回転。
・そのため頸骨は内側にねじれ、膝は内側に回転した。
・セディバは過回内足の問題は身体的に解決していた。
・彼らはそのような歩き方に適応した。


・セディバが過回内足だったのは、樹上生活に依存していたから。
・セディバは他種のアルストラロピテクスと違い、草原を餌場としていなかった。
・森林の食物に依存してい生活していた。
・餌場の森林から別の森林へ移動するときの歩き方が多少不格好だったとしても不思議ではない。


★新たなホミニン
・340万年前の地層から見つかったアウストラロピテクス・デイレメダはルーシーよりも頻繁に木に登り、ルーシーとは違う歩き方で二足歩行していた。
・類人猿により近いホミニンだった。
・横に突き出た、ものを掴むのに適した短い親指は、木登りが得意な類人猿のそれに似ていた。
・あるいはアルディピクスのそれに似ていた。
・ルーシーの種とは違う歩き方をするホミニンが彼らと共存していた。


・人類の進化を通じて歩き方は一つだけと考えられてきた。
・数百万年前、アウストラロピテクスの複数の近縁種が異なる環境下で生活し、それぞれ少し違った歩き方で歩いていた。
・アフリカ北中部の草原から東武大地溝帯に沿い広く分布していた。

・ルーシーの種とは違う歩き方をするホミニンが彼らと共存していた。