ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

サピエンス全史

ユヴァル・ノア・ハラリ 「サピエンス全史」メモ 

サピエンス全史 上下合本版 文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史 上下合本版 文明の構造と人類の幸福

 

 ユヴァル・ノア・ハラリ 「サピエンス全史」メモ

第1部 認知革命

第2章 虚構が協力を可能にした

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【まとめ】
・7万年前から3万年前にかけて見られた、新しい思考と意志疎通の方法の登場を「認知革命」という。
・虚構、架空の事物について語る能力こそが、サピエンスの言語として異彩を放つもの。
・共通の神話を紡ぎ出すことが、大勢で柔軟に協力する能力をサピエンスに与え、無数の赤の他人と柔軟な形で協力可能とした。
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・サピエンスは15万年前には東アフリカに到達していたが、それ以外の場所に侵出して他の人類を絶滅に追い込み始めたのは7万年ほど前から。
・およそ7万年前から、サピエンスは他の人類種を地球上から一掃した。
・約7万年前から3万年前にかけて、人類は舟やランプ、弓矢、針を発明した。
・芸術と呼べる品々、宗教や交易、社会的階層化の最初の明白な証拠もこの頃

→7万年前から3万年前にかけて見られた、新しい思考と意志疎通の方法の登場を「認知革命」という。
・その原因は定かではない。
・たまたま遺伝子の突然変異が起こり、サピエンスの脳内配線が変わり、それまでにない形での思考、新しい種類の言語を使用しての意志疎通が可能になった。

・サピエンスの言語のどこが特別だったのか?
①言語が驚くほど柔軟だから
②噂話のために発達した
 ホモ・サピエンスは社会的な動物であり、社会的な協力が生存と繁殖のカギを握るから


・我々の言語が持つ比類ない特徴は、”まったく存在しないもの”についての情報を伝達する能力。
・伝説や神話、神々、宗教は認知革命に伴い初めて現れた。
・虚構、架空の事物について語る能力こそが、サピエンスの言語として異彩を放つもの。
・共通の神話を紡ぎ出すことで、そのような神話は大勢で柔軟に協力するという能力をサピエンスに与え、無数の赤の他人と著しく柔軟な形で協力できる。

 

プジョー伝説
チンパンジーの群の中で有力なチンパンジー「アルファオス」は、腕力ではなく、大きくて安定した連合を率いることでその地位を勝ち取る。
・そのような形で組織し、維持できる集団の大きさには限界がある。
(群は20~50頭程度、100頭を越える集団の観測例は、ほんの一握りしかない)

・認知革命の結果、ホモ・サピエンスはより大きく安定した集団を形成したが、150人程度が限界だった。
・この限界を乗り越えたのは「虚構」の登場による。
・膨大な数の見知らぬ人どうしも、共通の神話を信じることで協力できる。
・人間の大規模な協力体制は、人々の集合的想像の中にのみ存在する共通の神話に根ざしている。

・宇宙に神は存在せず、人類共通の想像の中以外には、国民も、お金も、人権も、法律も、正義も存在しない。
・現代の制度もそれとまったく同じ基盤に依って機能している。

プジョー製の乗り物はたくさんあるが、それらの乗り物自体は会社ではない。
プジョーSAは物理的世界とは本質的に結びついていない。
・ブジョーは私たちの集合的想像の生み出した虚構。
 →「法的虚構(法的擬制)」
プジョーは法的虚構のうちで「有限責任会社」の部類に入る。
・「有限責任会社」は、それを起業・投資・経営する人々から法的に独立している。
・「有限責任会社」は私たちの「想像」の中にのみ存在している。

・すべては物語を語ること、人々を説得してその物語を信じさせることにかかっている。
・この試みが成功すると、無数の見知らぬ人どうしが力をあわせ、共通の目的のために精をだすことが可能になる。

・「虚構」「社会的構成概念」「想像上の現実」:人々が長年織り上げてきた複雑な物語のネットワークを通して人々が生み出す種類のもの。
・想像上の現実は、嘘とは違い、誰もがその存在を信じているもので、その共有信念が存続するかぎり、その想像上の現実は社会の中で力を振るい続ける。
・サピエンスは、認知革命以降ずっと二重の現実の中に暮らしてきた。
・川や木やライオンといった客観的現実、神や国民や法人といった想像上の現実。

 

★ゲノムを迂回する
・人々の協力の仕方は、その神話を変えること、別の物語を語ることで変更可能。
・文化の進化に追い越し車線ができ、遺伝進化の交通渋滞を迂回可能になった。
・他の社会的な動物の行動は遺伝子によりおおむね決まり、遺伝子の突然変異なしには、社会的行動の重大な変化は起こらない。
・サピエンスは認知革命以降、自らの振る舞いを素早く変えられるようになり、遺伝子や環境の変化を必要とせずに、新しい行動を後の世代に伝えた。
カトリックの聖職者や仏教の僧侶、中国の宦官といった子供をもたないエリート層の存在は、自然選択の最も根本的な原理に反する。

・太古の人類の行動パターンは何万年も不変だったのに対し、サピエンスは社会構造、対人関係の性質、経済活動、その他の行動を10年、20年のうちに一変させることができる。

・交易を行う動物は、サピエンス以外にはない。
・交易は虚構に基づく信頼抜きには存在しえない。
・狩猟においても何十人もの協力、異なる生活集団間の協力に頼る技術を開発した。

 

★歴史と生物学
・サピエンスが発明した想像上の現実の多様性、そこから生じた行動パターンの多様性は、「文化」の主要な構成要素。
・文化は変化と発展を止めず、こうした変化のこを「歴史」と呼ぶ。
→認知革命は歴史が生物学から独立を宣言した時点。
・認知革命以降は、ホモ・サピエンスの発展を説明する主要手段として、歴史的な物語が生物学の理論に取って代わる。

・サピエンスとチンパンジーの真の違いは、多数の個体や家族、集団を結びつける神話という接着剤。
・この接着剤こそが私たちを万物の支配者に仕立てた。