ありのままに生きる

社会不適合なぼっちおやじが、自転車、ジョギング等々に現実逃避する日々を綴っています。

ヒトはなぜ自殺するのか:死に向かう心の科学

ジェシー・ベリング 著 鈴木幸太郎 訳  「ヒトはなぜ自殺するのか」メモ  

 

 「ヒトはなぜ自殺するのか:死に向かう心の科学」を読み終えた。著者自身も自殺の想念にとりつかれることがあるようで、本人の実体験も本の中で語られていた。

 

 自分自身は、自殺したいと思ったことはなく、自殺の想念にとりつかれる人の気持ちは、正直よくわからない。

 なにもかもうまくいっているところでつまずくと、自殺のリスクが高まるとのことだ。何をやっても人並み以下のポンコツ人間の自分には、そもそも人生の絶頂みたいなものがないから、絶望することもないということかな。

 

 動物さんたちは自殺なんかしないのに、人間様だけが自殺するのは、ヒトは他人からどう思わているかを気にしすぎるからとのことだ。

  俯瞰すればたいしたことのない事柄であれこれ思い悩むのが人間で、それは無駄に想像力が高いからかもしれない。

 以前読んだ「サピエンス全史」には、人間の強みは、形のないもの(貨幣、国家、宗教など)を信じ、大勢の人が協力できることだと書いてあり、想像力が人間を結びつけているともいえると思う。

 ヒトの豊かな想像力は人間と動物を隔て、人間同士を強力に結び付けるものである反面、破滅に導くこともある諸刃の剣ってことかな。

 

ジェシー・ベリング著 鈴木幸太郎 訳

「ヒトはなぜ自殺するのか:死に向かう心の科学」メモ   

 

8章 灰色の問題
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【まとめ】
・潜在連合テスト(IAT)は、専門医よりも高い自殺リスクの予測ができる。
・自殺の倫理や自殺が理性的・論理的であるかを哲学的に考えることはできるが、愛は哲学ではない。
・完璧主義は命取りであり、人を「サクセスフル」にするのは成功体験ではなく、失敗にどう対処するか。
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・経験を積んだ専門家でも、患者の自殺リスクを正確に見積もることは困難。
・本人に「自殺したいとおもっているか?」と聞くことが有効とは限らない。
・人は必ずしも自分の心について知っているわけではない。
・邪魔されたり入院させられたりしないよう、自分の思いを否定したり隠したりする。


<潜在連合テスト(IAT)>
・さまざまな事柄について個人のなかの潜在的な結びつきを測定する方法。


・私たちには自殺する「権利」があるのか?
・道徳的意義もあるのか?
・自殺はどんな場合にも悪いことなのか?
・自殺はつねに精神疾患の兆候なのか?
・理性的で健康な人間の特性なのか?


・社会における自殺の許容度と自殺率との間に相関がある。
・年間の自殺率は、自殺を個人の権利や選択とみなしている国のほうが、自殺を文化的に許容していない国より高い。


・自殺予防という表現が治療の時代の誤ったキャッチフレーズ。
・有効なアプローチは、自殺を道徳の問題として扱うこと。
・自殺する権利があるからといって、自殺がよいという意味ではない。
・現実には道徳は一筋縄ではいかない。
・自殺しかけている人を説得し、その後その人が苦しみ続けたとしたら、その責任の一端は説得した側にある。なにが正しいかわからない。


・正義の天秤はその人の犯した最悪の行為に大きく傾く。
・その人の生涯全体の累積的重みは道徳的に無関係となる。


・自殺の倫理や自殺が理性的・論理的であるかを哲学的に考えることはできるが、愛は哲学ではない。
・だれかをほんとうに愛しているのなら、自殺だけが選択肢ではないとその人を説得するために何でもするだろう。
・必要なのは、その人の手を掴んであげること。


・特定の手段を使いにくくすることは、自殺防止に効果がある。


・人を「サクセスフル」にするのは成功体験ではなく、失敗にどう対処するか。
・完璧主義は命取りになる。


・自分が社会的動物だということをたえず自覚することにより、自殺の想念に立ち向かうことができる。
・私たちの心は他者の思考の内容に注意が向くよう進化した。
・私たちの存在は、他者が思っていると思うかに左右される。
 →人間であることの究極の重荷、意識をもつがゆえの苦難
・基本的な社会認知機能を「オフ」にすることはできない。
・私たちを認め理解してくれるような人々を探し求めることはできる。
・自分の社会的苦悩をわかってくれる人がいること。